Photo by Shintaro Iguchi
警察官のなり手の減少が止まらない。直近15年で採用試験の受験者数は3分の1にまで減った。減少の要因には、民間企業の待遇が改善して相対的に公務員の人気が落ちていることと、「厳しそう」という漠然としたイメージがある。ただ実は、足元では、警察官の待遇は改善していて、東京都を管轄する警視庁の初任給は32万円まで引き上げられている。特集『公務員の危機』の本稿では、全国の警察を管理する警察庁への取材で、地方も含めた警察官の年収と働き方の実態に迫った。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
受験者の激減に加えて、“大量退職時代”も迫る
警察が「採用力」を高めるための課題とは?
直近15年で全国の警察官採用試験の受験者数が3分の1に減った。受験者数は2010年度、13万人超だったが、24年度は4万3059人だった。競争倍率も9.5倍から3.5倍に下がっている。
苦しいのは採用だけではない。全国の警察を管理する警察庁によると、40年ごろから10年間に定年退職を迎える層が多く、毎年8000人ほどが職場を離れる「大量退職時代」が目前に迫っているのだ。まさに今採用力を高めなければ、警察がこれまでと同じ量の業務を担っていくのが難しくなりかねない。
人手不足で懸念されるのが治安の悪化だ。日本の治安は良好だと感じる人が多いとされるが、警察庁が実施している治安に関するアンケート調査では21年度以降、「ここ10年で日本の治安が悪くなったと思う」と答えた人が増え続けている。最新の昨年10月の調査では79.7%に上った。
課題は山積している。25年の刑法犯認知件数は戦後最少となった21年から4年連続で増加。特に、窃盗や詐欺といった財産犯の被害額は4000億円を超えていて、これは刑法犯認知件数が過去最悪だった02年の被害を上回る額となっている。
背景には、SNSで参加者を募る「匿名・流動型犯罪グループ」による凶悪な手口の強盗事件や、特殊詐欺、投資詐欺がある。企業の事業活動に深刻な影響を及ぼすランサムウエア被害も相次ぎ、サイバー空間を巡る脅威も高まっている。
では、こうした犯罪に対峙する警察官の待遇はどうなっているのか。本稿では、警察庁への独自取材から、一般にはあまり知られていない地方も含めた警察官の年収や待遇を公開する。地方の警察で年収1000万円を超えるのは何歳からか。花王やニコンといった大企業に引けを取らない年収のエリアはどこだろうか。また、危険な目に遭う可能性はどれほどかも、警察官を志望するかどうかを決める重要な要素となる。次ページでは、警察官が業務中にけがをする確率も明らかにする。







