国家プロジェクトと災害対応で示す
鉄道工事の技術力
現在、同社が参画する「羽田空港アクセス線」は、東京駅と羽田空港を直結し、所要時間を大幅に短縮する国家的プロジェクトだ。都市の利便性向上や国際競争力の強化に直結するこの事業は、交通インフラを通じて社会を支える象徴的な挑戦といえる。
また、自然災害の激甚化が進む中、同社は災害復旧の最前線にも立ち続けてきた。先に触れた福島県沖地震では新幹線の早期復旧を実現し、23年の台風13号によるいすみ鉄道の被害では、JR東日本管内の災害復旧工事で培った経験・技術力により調査から施工までを一貫対応。伊勢社長は「まず徐行でも列車を通せる状態にし、その後で本復旧を進める。災害対応のノウハウは当社の強みです」と胸を張る。
羽田空港アクセス線と災害復旧。これらは、同社が「社会の当たり前」を守り、未来へつなぐ企業であることを象徴している。同社の未来を築く人たちに向け伊勢社長は、こう思いを語る。
「鉄道メンテナンスは目立たない仕事かもしれません。しかし安全と安心を守るという社会的使命があり、誇りある仕事で、『社会の当たり前』を支える確かなやりがいがあります。変わらない使命のために変わり続ける企業でありたい」
鉄道関連事業は、表には出にくいが社会を支える誇りある仕事だ。安定した事業基盤と充実した教育・制度の下、若い世代が安心して挑戦できる環境がここにある。
家族を大切にしながら
キャリアを伸ばせる環境と制度

東鉄工業 線路本部 線路企画部 上席主任
黒澤 涼 氏(入社11年目)
大学では土木を専攻し、教授の紹介や現場見学を通じて建設業の世界を知りました。実際の現場を体験する中で「自分の手で社会を支える構造物を造る」というゼネコンの仕事に強く魅力を感じました。中でも鉄道インフラに特化し、線路メンテナンス工事で国内屈指の実績を誇る東鉄工業の専門性に惹かれて入社を決意しました。
配属先では、重要線区が輻輳(ふくそう)する大規模な大宮駅を中心に施工管理を担当し、日々の安全を守る責任の重さとやりがいを実感しました。その後JR東日本へ出向、発注者の立場から保守計画に携わり、設備の違いや他社の安全管理の仕組みを学ぶことで視野が広がりました。
現在は線路企画部で会社全体のルール作りを行うと同時に、採用活動にも携わっていて、学生に「当たり前に走る電車が、こうして守られている」と伝えることで、改めて自分の仕事にやりがいを感じています。線路工事は作業直後に列車が走行するため、安全確認は最大の責任であり誇りでもあります。
社員の成長を後押ししてくれる総合研修センターでの研修や自己申告によるキャリア支援制度も充実、福利厚生も整っています。昇進に伴う研修や講師経験を重ね、昨年は2人目の子どもの誕生に合わせて育休も取得しました。家庭と仕事を両立できる環境が整っていることも魅力です。将来は所長として後輩を導き、地域の鉄道輸送を支える存在になることを目標としています。真面目でありながら明るい社風の中で仲間と力を合わせ、「社会の当たり前」を守り続ける仕事に大きなやりがいを感じています。
東鉄総合研修センター
東鉄総合研修センターは約4万m2の敷地に研修棟・実習棟を備え、屋外には総延長830mの実習線やマルチプルタイタンパなどの大型保線機械、踏切やトンネル設備を配置し、現場さながらの体験型研修を可能としている。
建築技術の継承にも力を入れており、建築モックアップは完成階層と施工過程の階層を設け、図面理解などの習得ができる構造となっている。
さらに経営理念「~安全はすべてに優先する~」を理解・実践するため、映像やVRを活用した安全研修室も設置されている。
研修センター外観(左)、センター内にあるカフェテリア(右)
施工過程から完成までの流れをリアルに学べる。施工中(左)と完成後(右)
さまざまな構造物を実寸大で再現し、施工技術を体感できる(左)。屋外施設も充実(右)
東鉄工業株式会社
〒160-8589 東京都新宿区信濃町34 JR信濃町ビル4階
TEL:03-5369-7650
E-mail:jinji@totetsu-m.jp
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