しかし、その後に知ったのは、「マネジャーの価値は、いかに上手に管理しきるかではなく、チームがいかに力を発揮できる環境を整えられるか」という視点です。

 たとえば、社員が入社してから最初の1カ月を想像してみましょう。

 放置型のマネジャーであれば、必要な書類や情報をメールやチャットで渡して、「見ておいて」で終わり。何度もフォローアップすることもなく、質問があれば答えるだけの「受け身」の姿勢です。これでは新しく入った社員は情報を読むことはできますが、頭を整理することはかなり難しくなります。

 細かい管理型マネジャーであれば、一からチェックリストをつくって、最初から説明していくでしょう。質問も都度できるので、効率的に理解が深まります。しかし、それでも「受け身」の姿勢での情報インプットであることに変わりはありません。これでは積極的に状況を想像し、自分ごととして実際の業務をより素晴らしいものに変えていこうとするインセンティブが失われてしまいます。

戦略やゴールを共有し
「期待値」をクリアに伝える

 Googleでは、マネジャーが最初にビジネス戦略やチームの目標・ゴールだけを共有します。そしてメンバーに対して、「期待値」をあらかじめクリアに伝えます。

 そこから、具体的にどういう行動を取って、どのような成果を出すのかは、メンバー自身が自分で考えなければなりません。

 このとき、マネジャーはメンバーを放置するわけではなく、議論のパートナーとなり、絶えず伴走する存在になるのです。「伴走」という言葉は柔らかく聞こえますが、決してそれは「やさしい応援団」みたいなものではなく、どちらかというと「厳しいコーチ」というイメージの方が近いかもしれません。

『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』書影Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』(中谷公三、諸橋峰雄、水野ジュンイチロ ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 マネジャーである私自身も、この目標設定の作業に非常に苦労しました。生半可なプランでは、当時の上司は決して納得してくれないからです。「十分に挑戦的な目標」でなくては認められませんし、その目標を達成するのに必要十分と認められる具体的なアクションを設定しなければ納得してもらえないのです。

 慣れるまでは、マネジャーと何度も1on1ミーティングを行い、「何をやるのか」「なぜそのアクションを取れば達成できると言えるのか」と、しつこく壁打ちと議論を繰り返して、アクションプランを言語化していく必要がありました。

 当たり前だと感じて疑問を持たないことや、なんとなく理解したつもりになっていることについて、Googleのマネジャーは容赦なく、突っ込んだ質問をしてきます。曖昧さを残すようなことはありません。

 しかし、こうして徹底的に言語化していくことによって、メンバーの成長の機会を最大化し、ビジネスゴール達成の確率を高めていくことができるのです。