「指導的地位」というと、企業では課長相当職以上とされているが、そもそも2020年までの残り6年間で「指導的地位」に昇進するのは、家事や育児などの制約がまったくない総合職女性でも簡単なことではない(むろん、男性でも同様である)。税制や社会保障制度を改正したとしても、それによって、現時点で補助的な職種で働いている女性がすぐに「指導的地位」に就けるようになるわけではない。

「壁」をなくして
ステップアップができる社会に

 とはいえ、現状を放置してよいわけではない。後で詳しく説明するが、税・社会保障には年収103万円を境にした「103万円の壁」と年収130万円を境にした「130万円の壁」があり、その手前までに年収を抑えたくなる仕組みになっている。

 特に、「130万円の壁」を越えた際の負担増は重く、後述するように年収130万円以上になるならば、年収200万円くらいまで稼がなければ収入に対して手取りが少ない「割に合わないゾーン」を脱せない。

 たとえばパートなどで年収130万円の手前まで稼いでいる状態から、さらにステップアップして働く時間を延ばしたり、より責任が重く給料の高い仕事を目指したりしたいと考えたとき、「130万円の壁」があるために、手取りがかえって減少したりあまり増えなかったりすると、ステップアップをためらってしまう。

 「壁」の手前までで働くのをやめることは、家計にとって目先の手取りを増やすためには有効な戦略かもしれないが、いつまでも低収入の補助的な仕事にとどまることとなり、中長期的に見れば必ずしも有効な戦略ではない。日本全体で見ても、労働力人口が減少していくなかで、個々の労働者が能力を伸ばし、より生産性を高めていく動きを促進していかなければ、持続的な経済成長は実現できない。女性がステップアップする際の「壁」をなくすのは急務である。

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政府の税制調査会の提案は「103万円の壁」を均す

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