「2020年に指導的地位30%以上」
には直接はつながらない
1985年生まれ。2008年早稲田大学政治経済学部卒業、同年大和総研入社。税制・会計、社会保険、金融商品取引法などの調査・分析に従事。著書に、『大増税時代を生き抜く共働きラクラク家計術』(2012年、朝日新聞出版、共著)、『徹底シミュレーション あなたの家計はこう変わる!』(2013年、日本法令)
まず「女性の活躍推進」を目指して税・社会保障制度の改革が検討されているが、論点を整理しなければいけない。
安倍首相は2013年4月の成長戦略スピーチで、「女性の活躍推進」として「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする」という目標を掲げた。
この「2020年に指導的地位30%以上」という目標実現のために、税・社会保障制度を改革するというイメージを持っている方もいるかもしれないが、この話は直接はつながらない。
そもそも、現在検討されている税・社会保障制度の改革の主眼は、年収200万円以下で、主に補助的な職種で働いている女性について、「就労調整」をしなくて済むようにする、ということが狙いである。
一方で年収が200万円を超え、社会保険適用で働く女性にとっては、年収の増加に応じて税・社会保険料がなだらかに増えていくだけの話であり、「指導的地位」まで昇進するにあたって特に税・社会保障の問題があるわけではない。