政府・自民党で配偶者控除の見直しが検討されているが、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、これには庶民を惑わすポイントがいくつかあると指摘する。長年、家計に影響する税制をウォッチしてきた荻原氏の目には、今回の見直しの背景には財務省を中心とした政府側の「課税最低限を下げる」という悲願の達成に向けた強かな姿勢が見えてくるようだ。実際に配偶者控除が見直された場合の家計の防衛策とあわせて、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

おぎわら・ひろこ
経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌『hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説。ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。『金持ち老後、貧乏老後』(毎日新聞社)など著書多数。

「103万円の壁」は壁じゃない!
それ以上稼いでも手取りは減らない!

――24日に閣議決定された新成長戦略には、「働き方に中立な税制・社会保障制度等への見直し」という項目があり、配偶者控除の見直しについて、年末へ向けて具体的な議論が進められます。どのように見ていますか?

 まず、政府の言っていることには間違いが多いんですよ。「103万円の壁」と言われているが、それはそもそも壁でもなんでもない。

 確かに、夫が会社員で妻がパートで働いている場合、妻の年収が103万円を超えると夫は配偶者控除が受けられなくなる。世間では、その瞬間に「所得税がかかって、かえって手取りが減る」と思われているようだが、これは誤解。手取りが減らないように、配偶者特別控除があり、手取りは減らない。年収141万円までは、配偶者特別控除が受けられるんですよ。

 政府は『「103万円の壁」は壁じゃないですよ』と言うべきです。それなのに、『「103万円の壁」を解消するために配偶者控除を見直す』と言っている。これは配偶者控除を見直して増税したい政府のプロパガンダだ。