「あの人、近づくと臭うよね~」
「見た目は好印象だし仕事もできるけど、あの体臭はちょっと、ね……」
――あなたは職場で、女性社員にこんな陰口を囁かれていないだろうか。
スメハラ(スメルハラスメント)という言葉が話題になるなど、ニオイケアに対する社会的な意識が高まっている。自身の口臭や体臭をケアして清潔感を保つことは、もはや「デキるビジネスマン」にとって必須のエチケットだと言えよう。
もちろん、企業側にとっても従業員のニオイ対策は重要な課題だ。ニオイに敏感になった昨今の社会では、ニオイを気にせずに快適に仕事ができるオフィス環境を整えることも、企業の役目になりつつある。さらには、営業職や接客業など、顧客に接する機会が多い職種では、ニオイが営業成績や企業イメージに悪影響を及ぼす可能性だってあるかもなのだ。
そんななか、ついにスメルマネジメント活動として「デオドラントケアセミナー」を実施する企業まで現れた。「そんな会社、本当にあるの?」と驚く人もいるかもしれないが、嘘ではない。今回は、企業が行う「ニオイ対策」の最前線に迫っていこう。
「ニオイ」をどう伝えるべきか?
企業のハラスメント窓口が抱える悩み
東京・西新宿に本社を構えるエプソン販売は、2013年度から従業員に対して「エチケットセミナー」を自由参加で実施している。きっかけになったのは、同社のハラスメント相談窓口に寄せられた相談。「周囲の口臭や体臭が気になる」という声が、暑い季節になるとたびたび寄せられるようになったのだ。
ハラスメント相談窓口と言えば、セクハラやパワハラなどの相談が寄せられるものだと思いきや、最近では「ニオイに関連したスメハラ」も対象の1つになってきているのである。しかし、対人関係のトラブルであるセクハラやパワハラと違い、介入しにくいのが「スメハラ」の特徴。対象となる従業員を呼び出して、「あなた、臭いですよ」と真っ向から注意するわけにもなかなかいかないのだ。