さらに、汗、加齢臭、ミドル脂臭(ししゅう)(30~40代の男性に特有の脂っぽいニオイ)など、様々なニオイを密封した小瓶を用意して、実際に嗅いでもらう体験も行っている。
マンダム商品PR室の下川麻友課長は、「鼻がニオイに慣れてしまう『馴化(じゅんか)』という現象により、自分のニオイに気づかない人が多いのですが、日本人男性の9割以上はなんらかの体臭を持っているというデータがあります。実際に身体から臭う様々なニオイを体験してもらうことにより、ケアの必要性に気づいてもらうことが狙いです」と話す。
エプソン販売が2013年セミナー受講後の参加者に対して行ったアンケートには、「人からどう見られているのかを考えるようになった」「自分では気づかずにニオイを振りまいているかもしれないことを、気にかけるようになった」などの声が寄せられた。
さらに、参加者の70.3%が「受講後にニオイへの意識が変わった」と回答し、74.0%が何らかのニオイ対策を実施するようになったという。
今後も社員への根気強い
啓発活動が必要に
大矢課長は、「喫煙マナーについても、以前と比べると周囲に配慮しなければいけないという意識が社会全体で醸成されてきました。デオドラントケアも同じように、社会人のマナーとして認識されていく気運が、今後ますます高まっていくのではないでしょうか」と予想する。
一方で、受講者からは、「セミナーに出てほしい方に声がけするのは難しいですね」との声も寄せられた。エチケット講習の一環としてデオドラントにスポットライトを当てたことで、社内の意識に変化が生じ始めてはいるが、まだ、全員が受講したわけではない。今後も継続的な取り組みが必要だろう。
すでに指摘した通り、企業がスメハラを社員本人に指摘するのは難しい。よほど清潔感に気を使っている人ではない限り、当事者が自分で自分のニオイに気がつかないことも多い。企業側からは対応策を打ち出しにくいことが課題と言えるが、エプソン販売の取り組みは実に前向きで興味深い。