25年の時を経て、名著『ベスト・パートナーになるために』待望の続編『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』が8月30日に刊行されました。家庭、職場、恋愛……あらゆる場面で異性間コミュニケーションは必須です。男女が上手に付き合うために必要なことを生物学的に、あるいはコミュニケーションの観点から考え続けてきたグレイ博士の最新の考えを同書から紹介していきます。

男はテストステロンが
すべての活動にかかわる

テストステロンは、男性の若々しさや健康、活力、集中力、記憶力、気分の安定、性欲などに深く結びついている。男性にとって良いものは、すべて健全なテストステロンレベルと関連していると考えてもいいくらいだ。

男性の健康にとって、テストステロンの安定した分泌は重要だ。だがテストステロンは、ストレスにさらされ続けると減っていく。その結果、男らしさが女らしさによって抑えられ、さらにテストステロンが枯渇してしまう。テストステロンが多すぎたり、エストロゲンが少なすぎたりすると、男性はストレス症状に対して脆くなってしまう。

以下に、慢性的なストレスを感じている男性に見られる一般的なストレス症状を挙げる。
男らしさを取り戻さない限り、これらの症状はこの順序で顕在化していくことが多い。

1 意欲の低下
2 無関心
3 頑固
4 不機嫌
5 怒りと苛立ち
6 変化への抵抗
7 妻への性欲の低下(ポルノ中毒になりやすい)
8 気分の激しい変化
9 不安
10 絶望
11 攻撃性

これらの症状が見られたら、男性は女性的な活動から一時的に離れ、男性ホルモンの分泌を刺激する活動に集中すべきだ。テストステロンを増やすことのできる活動の例を紹介しよう。

★テストステロンを増やすことのできる活動
「意思決定」「努力とハードワーク」「問題解決」「プロジェクトに取り組む」「効率的な行
動」「無私の行為」「得意なことをする」「大義のために自分を犠牲にする」「祈り、瞑想、
沈黙」「断食」「学習、能力開発」「金を稼ぐ」「リスクを取る」「自信を持って困難に挑む」
「成功」「勝利」「競争」「スポーツ」「性的な行為」「恋愛」「相手の話を聞く」「調べ物をす
る」「男同士で冗談を言い合う」「車の運転」

男は〝洞窟タイム〟で自分の殻にこもることが必要

男性がテストステロンレベルを回復するには、女性的側面から一時的に離れ、男らしさを回復する時間をつくる必要がある。

私はこれを“洞窟タイム”と呼んでいる。“男には自分の殻にこもる時間が必要だ”という考えは『ベスト・パートナーになるために』でも紹介したものであり、大勢の女性読者から、「夫の“一人にさせてくれ”という欲求を正しく解釈できるようになった」と好評を得た。

殻にこもった男を見て、”いま、ストレスから回復しようとしているのね”と理解できるようになれば、それをネガティブなものとして受け止めなくなる。男が洞窟にいるあいだは、無理に引きずり出そうとしなくなる。

ホルモンバランスがとれていると男は幸せになり、良いパートナーになるための意欲とエネルギーが高まる。女性にも同じことが当てはまる。次ページでは逆に女性のために男性ができること紹介していこう。