女性はオキシトシンを求めている

今日の女性は日常生活で男性的な活動をする機会が増えたことで女性ホルモンのバランスを保つのが難しくなり、慢性的なストレスにさらされている。その結果、女性ホルモンの供給源である副腎を疲弊させている。

副腎が疲れていると、十分なエストロゲンをつくれなくなり、ホットフラッシュや怒り、不眠症、膣の乾燥、性欲減退、活力低下といった更年期症状や、前述した疾患を発症しやすくなる。

若い女性は男性的な行動をとるにつれてホルモンバランスを保ちにくくなり、ストレス症状が現れやすくなる。気分変動、PMS、生理痛、抑うつ、パートナーへの情熱の低下、孤独感、焦燥感(もっとも多く見られる症状)、などだ。

過去15年間の研究で、オキシトシンの分泌を促す行動が女性のストレス低減に役立つことがわかった。この研究は男女が感情的に求めることが違う理由を生物学的に明らかにしたという意味でも画期的だった。男女ともに、オキシトシンは愛情や信頼、安全と関わりがある。

オキシトシンの分泌を促す代表的な行動は、肌の触れ合いだ。触れ合いは女性にとって特に重要だ。オキシトシンはエストロゲンと共に、女性のストレス軽減に大きな役割を果たしているからだ。オキシトシンは、愛情や思いやりを伴う行動でも増やせる。

カウンセリングで、“夫が愛情や思いやりを示してくれなくなった”と不満を口にする女性は多い。その理由は、女性がストレスに対処するために有効な、オキシトシンを求めているだからだ。

非-性的な肌の触れ合いが大切

私がこの男女の違いに気づいたのは30年以上前のことだ。カウンセリングをしていた女性が、「夫が私に触れようとするのは、セックスをしたいときだけなのです」と言った。まだ女性というものをよく理解していなかった私は、なぜそれが問題なのかと思った。

次第に、私は女性にとっての非性的な触れ合いの重要性を理解するようになった。その気分ではないとき、女性は性的な触れ合いを嫌がる。非性的な触れ合いや愛情表現は、性的な触れ合いよりもはるかに多くのオキシトシンを分泌する。オキシトシンレベルが上昇すると、女性は女らしさを取り戻し、エストロゲンが増える。

エストロゲンとオキシトシンの両方が増えて、女性ははじめて性的な触れ合いを楽しめるようになる。しかし、現代の女性は男らしさに傾いているためにエストロゲンレベルが低く、オキシトシンが分泌されてもなかなかストレスが減らない。そのため、男性に触れられないことを不満に思わなくなる。この状態になると、男性のほうが、“パートナーが愛情や思いやりを示してくれない”と不満を持つようになる。

女性が女らしさを抑えてストレスが増えると、愛情表現を妨げるストレスホルモン、コルチゾールが分泌される。オキシトシンには、このコルチゾールを下げる作用がある。テストステロンが男性のストレスを下げるのと同じように、オキシトシンは女性のストレスを下げる。

カウンセリングで“男性が愛情を示してくれなくなった”と嘆く女性は多い。触れる、抱きしめるなどの行為は、オキシトシンの分泌を促す。

寝る前にベッドで抱擁することは、男女両方にとってさまざまなメリットがある。女性はオキシトシンが分泌されるので、ストレスを減らし、心配事を忘れて眠りにつける。男性にとっても、オキシトシンは眠りやすくなるという効果がある(ただし男性の場合、抱擁が長すぎるとストレスを感じ、眠りにくくなることもある)。

女性は、男性が愛情や思いやり、理解、尊重を示すとオキシトシンが増え、ストレスが減る。それによって女性も、バランスのとれた方法で愛情を示せるようになるのだ。