「もうマンションを買ってもいいかな。でも損はしたくないし、ローンも怖い」。
そんなあなたが買うべきは、「60m²前後」×「駅徒歩7分以内」×「2001年以降完成」のマンションしかありません。

本連載の書き手は、「不動産ひと筋30年! 12000人と面談し、成約件数は6000件以上」という圧倒的なキャリアを持つ後藤一仁氏。不動産仲介会社の“現役”社長です。「不動産を通じて、1人でも多くの人に幸せになってほしい」という願いが込められた『マンションを買うなら60m²にしなさい』の著者でもあります。「損をしない、戦略的なマンション選び」を語ってもらいます。

お宝マンションを「紹介したくない客」とは?

「コレ」をしたら嫌われます!

 最近はインターネットを中心に、仲介手数料無料やディスカウントをうたう業者も増えてきました。

 最初の段階で、仲介手数料をディスカウントしていないタイプの仲介会社に、「仲介手数料のできるだけ安い業者を探しています。御社はいくらですか?」「よい物件を紹介してください。そして手数料はできるだけ割引してください」と、いきなり言う人もいますが、やめておきましょう。

 これは「よい物件を見つけるにはどうすればいいか」という発想ではなく、「物件を買うための経費を少なくしたい」という発想で、長期的には損をします。

 不動産は唯一無二で、1つとして同じものはないという特性があります。電気製品や車のように、どこで買っても同じものが買えるというのであれば、少しでも安いほうがよいでしょう。しかし不動産は1つ1つ違います。

 不動産ビジネスに限らず、高度な技術が要求される業種の場合、受任側も、難易度の高い仕事をするために、時には私生活を犠牲にして多大な手間ひまをかけます。

「お金は払いたくないが、質の高いサービスを要求する」のは、特別な事情がある場合を除き、よい結果をもたらしません。

 仲介会社は、売主から優良物件の売却を任せてもらうまでの信頼を築くのに、時には何年も年十年もかけることもあるのです。

 相当な苦労をして、やっと受任できた物件(なかなか出ない優良物件)を、「仲介手数料をまけてほしい」としつこく言う人に紹介したいでしょうか。「正規の報酬を支払います」という人からも依頼を受けていれば、前者が不利になるのは自明の理です。

 有能な担当者であれば、報酬をキチンと払って、それ以上に物件価格の値引き交渉やその他の条件を有利に運んでもらうことをがんばってもらったほうが絶対得です。

 さらに今後の人生の中で、不動産関係で困ったときの相談相手のような存在となり、力になってくれる可能性もあるのです。