無能なリーダーは部下を「子どものよう」に褒める。できるリーダーは何と言う?
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)
「プロセス」を評価しすぎるな?
ちゃんと評価できるリーダーになるためには、部下に「平等性」を保つことが大事です。
好き嫌いによる評価をなくし、正しく客観的に評価することを徹底しましょう。
そこでのひとつの結論は、「プロセス(過程)は評価しすぎない」ということです。
世の中では、プロセスを褒めることが是とされています。
結果がついてきていなくても、過程を頑張っていたら、それを評価しようというのが、常識になっています。
「褒める」は子育ての論理
その原因のひとつに、ある子育ての研究結果があります。
その研究では、小学生が良い点数のテストを持って帰ったときに、2パターンの褒め方で、その後の成績の伸び方が変わることを実証しました。
1つめが、「能力を褒める」(頭がいいからできたね)というパターン。
2つめが、「プロセスを褒める」(頑張ったからできたね)というパターン。
その2つを比較すると、前者のパターンの子は、テストの点数が下がり、後者のパターンの子は、高い点数を維持できました。
それにより、「勉強を頑張っているというプロセスを褒めよう」という育て方が一般的になりました。
この話を会社での上司部下の関係にも当てはめたのが、現在のプロセス重視のマネジメント方法です。
あくまで「結果」にフォーカス
ここで重要なのは、勉強と仕事の違いです。
「勉強したって意味がない」と思っている子どもを勉強に向かわせる方法としてなら、たしかにプロセスが大事なのでしょう。
なぜなら、学校の勉強には明確な成果がないからです。
しかし、仕事は勉強とは本質的に異なります。
仕事では、給料やボーナスという「目に見える成果」を受け取っています。
生きるために働き、生きるために給料を得ていることが結びついているはずです。
やる意味がよくわからないまま勉強しないといけない小学生と、生きるために働いている会社員とでは、管理方法はまったく異なるのが当然です。
小学生向けのマネジメント方法が、会社組織に当てはめられていることが問題なのです。
できるリーダーがやるべきなのは、「結果」を評価する姿勢を見せること。
「目標が達成できているので、評価します」ということを堂々と言えるようになりましょう。
そのために、仮面をかぶる必要があるのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。