「最後まで生き残った者は強い」
シェール業界では振るい落としが完了した
「試練は我々を強靭にする(That which does not kill us, makes us stronger.)」という諺(ことわざ)があります。
2014年の夏以降、シェール開発がもたらした原油の供給過剰で、原油価格は100ドルを超える水準から一時30ドルを割り込む水準まで下落しました。
シェール開発では、地中の奥深くの岩盤に閉じ込められた原油や天然ガスを生産する関係で、採掘コストが高いです。このため「原油価格が50ドルを割れたら、シェール企業は次々に倒産するだろう」と言われてきました。
しかし実際に原油価格が下げ始めると、各社は中途半端な規模で、なおかつ旧式なリグを休止し、効率の良い大型のハイテクリグを、最もロー・コストで生産できる油田に投入することで生産コストの低減を実現しました。
下のグラフで青は北米の原油井の数を示しています。ピークの1600本を超える水準から、現在は400本前後にまで数が減り、「振るい落とし」が完了したことを伺わせます。
この結果、コスト高で採算性の悪いバーケンやイーグルフォードなどの地域ではリグの休止と労働者の失業が多発しましたが、コスト競争力に勝る地域は、最後まで生き残りました。その最後まで生き残った地域が西テキサスにあるパーミアン・ベイシンと呼ばれる生産地域です。
今日は、最後までサバイバルし、これまでより強靭にスケールアップしたパーミアン・ベイシンを中心に操業しているシェール銘柄を紹介します。
西テキサス、パーミアン・ベイシンでは
現在178本のリグが稼働中
パーミアン・ベイシンはテキサスの一番西、ニューメキシコ州との州境に近い地域にあります。南はメキシコとの国境に挟まれています。この生産地域の中心にある町はミッドランドと呼ばれる人口12万人の田舎町です。
現在、パーミアン・ベイシンでは全部で187本のリグが稼働しています。同地域での業者別生産高は下のようになっています。
なお上のチャートは生産高の多い順から並べてありますが、その中にはシェブロン(ティッカーシンボル:CVX)やエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)のような世界に展開している大企業もあります。それらの企業にとってパーミアンは微々たる存在ですので、同地域での活動が株価に与える影響は小さいです。
その反面、このチャートに出てこない中小型株でも、後に紹介するパースリー・エナジー(ティッカーシンボル:PE)やダイヤモンドバック・エナジー(ティッカーシンボル:FANG)のように業容を拡大している企業は存在します。
【パースリー・エナジー(PE)】
いまもっとも急成長しているシェール企業
パースリー・エナジー(ティッカーシンボル:PE)は2008年に創業された若いシェール企業です。同社を創業したのはブライアン・シェフィールドで、彼のお父さんはパイオニア・ナチュラル・リソーセズ(ティッカーシンボル:PXD)のCEOです。
パースリー・エナジーは新規株式公開(IPO)以来、平均して毎期+16%のペースで生産高を増やしてきました。つまり今、最も急成長しているシェール企業というわけです。
同社の生産高のうち6割が原油で4割が天然ガスとなっています。水平掘りが出来る大型リグ4基を現在稼働中ですが、2017年にはこれを5~7基に持って行く計画です。大型リグを1基増やすごとに全社生産高は年間+30%成長できると同社では試算しています。
パースリー・エナジーのバランスシートは強固で、純負債対EBITDA(利払い・税払い・償却前利益)比率は1.7倍です。
目標株価としては向こう1年で55ドルを想定しています(9/16時点で32.97ドル)。
【ダイヤモンドバック・エナジー(FANG)】
健全なバランスシートと魅力的な含み資産
ダイヤモンドバック・エナジー(ティッカーシンボル:FANG)はパーミアン・ベイシンに8万4000エーカーの鉱区を持っており確認埋蔵量は1.57億バレルです
同社は健全なバランスシートをしており、これを背景に積極的に鉱区を買収しています。7月も南パーミアンの鉱区を5.6億ドルで買収しました。投資家は同社の含み資産が魅力的であることをよく心得ているので、この買収に合わせて発表された550万株の公募増資も難なく売り切れました。
同社は原油価格の動向をにらみながら試掘を行っています。現在、20か所の試掘で原油が確認されていますが、それらを生産体制にもってゆくには抗井仕上げ(コンプリーション)と呼ばれる段取りをする必要があります。普通、石油の探索生産の際にかかる費用は、試掘が4割、抗井仕上げが6割ですので、試掘して「原油が出る」ということが確認されても、原油価格が低迷している間は生産に移らず、原油価格が戻って来るかどうか「様子見」します。
ダイヤモンドバック・エナジーの場合、原油価格が50ドルを超えてきたら、これらの待機している油井の生産にとりかかる予定です。
目標株価としては向こう1年で115ドルあたりを想定しています(9/16時点で89.69ドル)。
【アパッチ(APA)】
20億バレルの油田を発見し注目を浴びている
アパッチ(ティッカーシンボル:APA)は、今、最も話題を提供しているシェール企業だと思います。その理由はパーミアン・ベイシンに隣接するアルパイン・ハイという地域で、少なくとも20億バレルの油田を発見したと発表したからです。この地域はこれまで「粘土層のため生産が難しい」として地質学者から敬遠されてきた場所です。その関係でアパッチは45万エーカーという広大な鉱区を破格の安値で取得することが出来ました。
アルパイン・ハイは未だパイプラインなどのインフラストラクチャが整備されていないため、実際の生産は数年先になると思われます。
同社はこれまでエジプト、メキシコ湾、北海など、世界的に事業展開してきましたが、今後はパーミアン・ベイシンならびに「アルパイン・ハイ」に経営の軸足を移してゆくと思われます。
目標株価としては向こう1年で80ドルあたりを想定しています(9/16時点で58.56ドル)。
【まとめ】
原油価格が横ばい、もしくは上昇で攻めに転じる3社
2年間におよぶ原油価格の下落局面で生産コストの高いシェール企業は守りの経営を強いられ、ウォーレン・バフェットの言葉を借りれば「潮が引くと誰が裸で泳いでいるかわかる」状態になりました。今日紹介した3銘柄は、パーミアン・ベイシンという最も競争力のある油田に特化したことで生き残ることができました。
今後、原油価格が横ばい、もしくは高くなるというシナリオでは、これらの企業は「攻め」に転じることができると思います。
【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
| ※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2025年12月1日時点】
「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社 |
| ◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約4900銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
|
【SBI証券のおすすめポイント】 |
|
| 【関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社! |
|
| ◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【楽天証券おすすめポイント】 米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシアなど)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。米ドル⇔円の為替取引が0円と激安! さらにNISA口座なら、米国株の売買手数料が完全無料(0円)。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、米国株オーダーブック(板情報)、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能。米国株の貸し出しで金利がもらえる「貸株サービス」も行っている。 |
|
| 【関連記事】 ◆【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実! ◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい! |
|
| ◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【マネックス証券のおすすめポイント】 外国株式の取り扱い銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」の対象22銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で買付が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加えて店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。しかもNISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株(海外ETF含む)の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。 |
|
| 【関連記事】 ◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル! |
|
| ◆松井証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5000銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【松井証券のおすすめポイント】 米国株の売買手数料は他の大手ネット証券と同水準なうえ、為替手数料は完全無料(0円)とお得!さらにNISA口座では、米国株の取扱手数料が無料に! 米国株でも信用取引が可能で手数料が業界最安水準。2025年7月から米国株のプレマーケットに対応し、日本時間18時(夏時間は17時)から取引が可能になったのもメリット。さらに投資情報ツール「マーケットラボ米国株」や専用の取引ツール、リアルタイム株価が無料、夜間での取引に便利な返済予約注文(IFD注文)、米国株専用ダイヤル「米国株サポート」や「株の取引相談窓口(米国株)」などが特徴となっている。また、米国株専用の「松井証券 米国株アプリ」は、リアルタイム株価の表示に加え、米国株の情報収集から資産管理、取引までスマホで対応可能だ。 |
|
| 【関連記事】 ◆【松井証券のおすすめポイントは?】1日50万円以下の株取引は手数料0円(無料)! その他の無料サービスと個性派投資情報も紹介 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
|
| ◆moomoo証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約6300銘柄以上 | <現物・信用取引>約定代金の0.132%(上限22米ドル) |
| 【moomoo証券のおすすめポイント】 米国やカナダ、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなどグローバルにサービスを展開するネット証券。米国株には特に力を入れており、取扱銘柄数は業界トップクラス。売買手数料も大手ネット証券の4分の1程度だ(ただし売買手数料の上限は22米ドルと他社と同水準)。さらに、為替手数料が無料なので、米国株の売買コストのお得さでは頭ひとつ抜け出している。米国株に関するデータや情報も充実。最大上下60本の板情報や過去20年分の財務データ、大口投資家の売買動向など、銘柄分析に役立つさまざまな情報が無料で利用できる。24時間取引に対応しているので、日本時間の昼間にも売買が可能。1ドルから米国株を買うこともできる。取引アプリには対話型AIの「moomoo AI」を搭載。米国株の基礎知識から米国市場の動向、銘柄分析まであらゆる質問に答えてくれるので、米国株初心者には力強い味方となるだろう。 |
|
| 【関連記事】 ◆【moomoo証券のおすすめポイントを解説】米国株投資家には特におすすめの米国生まれのネット証券! プロレベルの高機能ツールやAIツールも魅力! |
|
| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |








































