世界投資へのパスポート
2016年12月26日公開(2016年12月26日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

ウォーレン・バフェットのコア銘柄のひとつ、
アメリカン・エキスプレスの業績&成長性を分析!
米国の出張経費の増大が、そのまま売上げ増に!

世界最大のクレジットカード会社
アメリカン・エキスプレスに注目

 今週は、日本でもクレジットカードの発行会社として有名な、アメリカン・エキスプレス(ティッカーシンボル:AXP)を取り上げたいと思います。

アメリカン・エキスプレスは、1.12億枚のカード発行残高を誇る世界最大のカード会社です。同社が年間に決済する金額は1兆ドルにのぼり、総資産は1,600億ドル、年間売上高は328億ドルです。

アメリカン・エキスプレスの青いロゴは信頼のしるしとなっています。

アメリカン・エキスプレスと
ウォーレン・バフェットの関係

 同社の筆頭株主は、ウォーレン・バフェットの投資会社、バークシャー・ハサウェイです。

 ウォーレン・バフェットは、いわゆるアメリカン・ブランドが大好きです。アメリカン・エキスプレスも典型的なアメリカン・ブランドだと言えるでしょう。

 バフェットが最初にアメリカン・エキスプレスの株式を取得したのは、1991年です。当時、アメリカン・エキスプレスは金融コングロマリットを目指しており、大手投資銀行シェアソン・リーマン・ハットンを傘下に持っていました。

 しかし湾岸戦争がもたらした不況で、アメリカン・エキスプレスは自己資本を増強しなければいけなくなり、バフェットに増資を引き受けてもらったのです。

 その後、数回に渡って、バフェットはアメリカン・エキスプレスの株式を買い増し、現在、同社の発行済み株式数の16.6%を保有しています。

アメリカン・エキスプレスは
その名の通り速達便の会社としてスタート

アメリカン・エキスプレスは、通貨、証券、小包などを届ける速達便の会社として1850年にヘンリー・ウエルズ、ウイリアム・ファーゴなどの実業家によってニューヨーク州で創業されました。

 その当時、ちょうどカリフォルニアでは金鉱が発見され、ゴールドラッシュが起こりました。そこでヘンリー・ウエルズとウイリアム・ファーゴは「アメリカン・エキスプレスもカリフォルニアに進出すべきだ」と主張しますが、他の出資者たちは「それはリスキーすぎる!」と反対しました。

 そこでヘンリー・ウエルズとウイリアム・ファーゴはアメリカン・エキスプレスとは別にサンフランシスコでウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)という速達便の会社を設立します。

 つまりアメリカン・エキスプレスとウエルズファーゴは、創設者が重複していたのです。

積み上げてきた信用力を利用して、
決済業務へ多角化を進める

アメリカン・エキスプレスは、大切な預かり物を受取人に届ける仕事をしていた関係で、顧客からの信用がなによりも大切でした。その信用力を利用し、次第に決済業務へと多角化してゆきます。

 有名なアメリカン・エキスプレスのトラベラーズ・チェック(旅行者小切手)が考案されたのは、1891年のことです。また1915年には、トラベラーズ・チェックのビジネスと親和性の高い旅行代理店のビジネスに参入します。

 1917年に、アメリカも第一次世界大戦に参戦することが決まりました。兵隊を欧州戦線に派遣する際、迅速な動員の妨げになると言う理由で、ウッドロー・ウイルソン大統領は速達便の免許を業者から取り上げてしまいました。

 これを機にアメリカン・エキスプレスは速達便のビジネスから撤退します。

チャージカード(クレジットカード)事業に参入

アメリカン・エキスプレスは、1958年にチャージカードのビジネスに参入します。

 チャージカードは一見するとクレジットカードと似ています。相違点としては、クレジットカードの場合、利用額の全額を翌月に支払う必要が無いのに対し、チャージカードは翌月一括払いを基本としている点です。(※日本では一般的に、クレジットカードとチャージカードの総称として「クレジットカード」という名称が使われる)

現在はクレジットカード事業が主力に
金利収入ではなくトランザクション・フィーに依存

今日、アメリカン・エキスプレスの主力業務は、このチャージカードとなっています。またクレジットカードにも参入しています。

アメリカン・エキスプレスのコーポレート・カードは、主に出張の精算に使われ、カードあたりの使用金額が大きいことで知られています。マスターカードの4倍です。

アメリカン・エキスプレスは、カード残高に対して課せられる金利収入に依存するのではなく、トランザクション・フィーに依存しています。このため貸倒れがカード会社の中で最も少ないです。

 ホテル、レンタカー、航空会社などのマーチャンツにとって、アメリカン・エキスプレスは重要なビジネス・パートナーです。また、アメリカン・エキスプレス・カードは、顧客の忠誠度が高いことでも知られています。

アメリカン・エキスプレスは、自社決済ネットワークを保有しています。それはどんなトランザクションが起こっているかを、リアルタイムで監視できることを意味します。これはサービスの改善やプロモーションの企画をする上でヒントを与えます。

コストコとの提携解消で成長率に悪影響が

アメリカン・エキスプレスは、2015年にコストコとの提携を解消しました。その関係で、ここ2年間はクレジットカードの与信残高成長が大きく落ち込みました。その悪影響は、今後だんだん減ってゆくと見られます。

 現在、同社は積極的に自社株の買戻しをすることで、業績を維持しています。

 上のチャートに見られる通り、アメリカン・エキスプレスは営業キャッシュフロー(グレー)が潤沢なことで知られています。

【今週のまとめ】
アメリカの景気が良くなれば、売上げ高増大が見込める!

 今後、アメリカの景気が上向いた場合、企業の出張なども多くなることが予想されます。それは同社の売上高が増えることを意味します。

 ウォーレン・バフェットのコア銘柄のひとつである、アメリカン・エキスプレスに注目です!

【2017年5月1日更新!】

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