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世界のエリートがやっている 最高の休息法
【第26回】 2017年2月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
久賀谷 亮

「25分単位」で考えると、子どもの集中力は持続する
【イェール対談】斉藤淳×久賀谷亮[後篇]

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著書『最高の休息法』が16万部突破のベストセラーになっているアメリカ在住の精神科医・久賀谷亮氏と、中高生向けの英語塾などを経営する斉藤淳氏との対談。まったく異なる分野の第一線で活躍中のお二人だが、じつは米イェール大学で研究に明け暮れていた時代からの旧知の仲だという。

今回の対談テーマは「脳の休息と集中力」。一方はクリニックにやって来る患者さんに、一方は塾に通う10代の生徒さんたちに向き合うなかで、二人はいまこのテーマについてどう考えているのか?2回にわたってお送りするスペシャル対談の完結編!(構成/佐藤智 撮影:宇佐見利明)

※前回の記事はこちら
「ただ休むだけ」だと、脳のパフォーマンスは高まらない
―【イェール対談】斉藤淳×久賀谷亮[前篇]

子どもの集中力を持続させる
適切なタイムキープ

斉藤 淳(さいとう・じゅん)J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員
1969年山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年、日本に中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムを展開。海外名門大や国内難関大の合格者も多数出ているほか、インターナショナルな保育園や学童保育も運営し、時期によっては入塾を待つことも。
著書に『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)のほか、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)がある・また、研究者としての著書に、第54回日経・経済図書文化賞などを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。

久賀谷 集中力をうまく維持するためには、ただぼーっとするのではなく、一種の「アクティブ・レスティング」の考え方が必要であり、その一つがマインドフルネスなのではないかというのが前回のお話でした。教育の現場にいる斉藤さんから見て、学習などについても同じことが言えそうだと感じますか?

斉藤 そうですね。たとえば日本でもアメリカでも、大学の授業では「90分学んで10分休む」という区切りになっています。人間の集中力の持続時間を考えると、それがよいスパンだということでしょうね。一方で、最近は「25分区切りがよい」という説も現れています。25分じっくり学び、5分休憩すると、学習の効率が上がる、と。

久賀谷 なるほど。ちなみにJ PREP斉藤塾では、一コマの授業をどのくらいの時間に設定しているのですか?

斉藤 じつは「3時間ぶっ通し」なんです。

久賀谷 えっ!そんなに長くして大丈夫なんですか?

斉藤 3時間の中でも、講師の裁量で25分に1回程度、緊張をほぐすような仕掛けをしています。逆に、明確な休憩時間を挟むと、生徒たちは学習への意識が切れてしまう。そうなると、もう一度学習モードに切り替えないといけなくなるわけなんですが、かえってそのほうが労力がかかるんです。

久賀谷 なるほど。あえて休憩時間を設けていないわけですね。いろいろと工夫が必要になりそうです。

斉藤 たとえば、日本人講師とネイティブ講師の2人が交互に授業を担当しますし、1つのプログラムが30分ほどという学習スタイルを取り入れたりしています。同じメニューにずっと集中できなくても、学習内容をスイッチしていくことで集中を持続させることはできます。

久賀谷 亮(くがや・あきら)医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。脳科学や薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。著書に『世界のエリートがやっている最高の休息法』(ダイヤモンド社)がある。

久賀谷 なるほど。また、運動の話になってしまいますが、身体を鍛えるときにも「走る×泳ぐ」などを組み合わせる「クロス・トレーニング」という方法がありますよね。アスリート自身も気分転換になるので効果的だと言われていますが、学習の場面でも効果を発揮していると。それにしても3時間は長いなあという印象ですが……。

斉藤 もう一つ理由があります。端的に言えば、われわれが教えているのが「英語」だからです。語学を確実に習得するうえで大切なのは、一定時間、連続して英語環境に身を置いて、「英語脳」のままでい続けることです。たとえば、イェール大学で語学の授業を履修すると、50分の授業を週5回、つまり毎日ありますよね。

久賀谷 たしかに。あと、カフェテリアに各言語別のテーブル「ランゲージテーブル」が用意されていて、そこで外国語でインフォーマルな会話ができるような仕組みも整っていました。私も一時期、足を運んでいたのでよく覚えています。

斉藤 ええ。つまり、イェールの学生があそこまでスムーズに語学を身につけられる秘訣は、語学学習に費やせる時間が圧倒的に多いからなんです。一方、J PREP斉藤塾の生徒たちは、学校も他の習い事も、そしてもちろん日常生活もあるなかで、週に1回英語を学びにきている。だとすると、3時間通して授業をすることで、「英語漬け」の環境を用意するのがベストだというのが、われわれの考え方なんです。

久賀谷 なるほど、語学習得のメカニズムを踏まえると、3時間授業が現状では最善解ということですね。

斉藤 一方で、練習と練習の間隔が空きすぎないように、毎日少しずつ音声の練習ができるようなアプリを用意したりと工夫しています。

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久賀谷 亮(くがや・あきら)

医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経科卒業。
アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、
イェール大学で先端脳科学研究に携わり、
臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。
そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。

2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。
同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、
最先端の治療を取り入れた診療を展開中。
臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。

脳科学や薬物療法の研究分野では、
2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、
「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。


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イェール大で学び、米国で18年診療してきた精神科医が明かす、科学的に正しい「脳の休め方」とは? 脳の消費エネルギーの60〜80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に使われています。これは、脳が意識的な活動をしていないアイドリング状態でも動いている脳回路。この回路が働き続ける限り、ぼーっとしていても、脳はどんどん疲れていくわけです。つまり、DMNの活動を抑える脳構造をつくり、脳にたしかな休息をもたらすことこそが、あなたの集中力やパフォーマンスを高める最短ルートなのです。

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