いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ブリタニー・ポラット著、花塚恵訳)がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と評する一冊だ。同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

どうでもいい自慢話を止めるには?
家族に隠れて高級菓子を食べるときなどは、その痕跡を消すように努めるのに対し、気合を入れて掃除をしたなど頑張ったときはその痕跡を残しがちだ。たとえばうっかり掃除用具をしまい忘れる。
今日一日いかに頑張ったかを、顔に表すパターンもある。
いかにも疲れた様子で「はぁーっ」とため息をついて、「どうしたの? 今日は大変だったの?」と聞いてもらうと、「いや別にたいしたことはないんだけど、○○さんにどうしてもお願いと頼まれて、他にできる人がいなかったからこんなに活躍して……」と語り出す。
子どもなら「聞いて! 今日ぼくこんなに頑張ったんだよ!」と得意満面に話して思いきりほめてもらうことができるが、大人はそういうわけにいかない。だから、遠まわしに話して気づいてもらおうとするのである。
こうした傾向は、私の知る限り、とくに私に顕著だ。
われながら、こんな感じでだらだらと自慢話をされると、まわりの人もさぞ迷惑だろう。
人がこれをやってきてうっとうしい場合は「さすが、◯◯さん! それでね……」と子ども同様、一言だけほめてあげて、スパッと話題を切り替えてしまえばいい。
一方、ストア哲学者のエピクテトスはこう言っている。
喝采がなくとも誠実に
――『STOIC 人生の教科書ストイシズム』より
ストイシズムは、「知恵」「正義」「勇気」「節制」という美徳の実践をすることで人格を高めることこそ幸福への道だと説いている。
正しいことを行うのは、それ自体に価値がある。
「すごいね」「頑張ったね」「さすがだね」と人に言われる必要はない。
『STOIC 人生の教科書ストイシズム』にはこうある。
美徳はそれ自体が報酬である。
これから、美徳にかなう行動をしてアピールしたくなっている自分に気づいたら、この言葉を思い出すことにする。「美徳はそれ自体が報酬である」。いいことは、ひっそり淡々とやればいいのだ。
(本原稿は、ブリタニー・ポラット著『STOIC 人生の教科書ストイシズム』〈花塚恵訳〉に関連した書き下ろし記事です)