世界投資へのパスポート
2017年2月27日公開(2017年3月7日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

「スナップチャット」の運営企業がいよいよ上場へ!
欧米で人気の写真共有アプリは、ユーザー層の若さや
訴求力の高い広告モデルで、今後の成長に期待!

英国株で久しぶりの大型IPOとして、
SNSサービスの運営会社「スナップ」が上場

 このところ米国の新規株式公開(IPO)市場は、閑古鳥の状態でした。しかし今週の3月1日(水)、久しぶりに注目度の高いネット企業が値決めされ、翌2日(木)から取引が開始されます。

 それはソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の「スナップチャット」を運営するスナップ(ティッカーシンボル:SNAP)です。

 今回売出される株数は2億株、価格レンジは14〜16ドルです。

 ディール後の発行済み株式数は11.57億株ですので、16ドルで値決めされたと仮定すると、時価総額は185億ドルになります。

スナップが運営する画像共有SNSサービス
「スナップチャット」とは?

スナップチャット公式サイトより
拡大画像表示

 スナップチャットは、友達の間で写真を共有するサービスです。スマートフォンでスナップチャットのアプリを開くと、すぐにカメラが起動します。気軽にセルフィーを撮り、友達に送信するわけです。

 相手が見終わった写真はすぐに消えてしまいます。この自動消去を前提としたサービスというのが、同社の大きな特徴です。

スナップチャットのサービスは、
ツイッターやフェイスブックより若い層にアピール

 スナップチャットのユーザー層は、13歳から34歳です。これはフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)やツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)などのユーザー層よりかなり若いと言えます。

 このことは、広告主が若い消費者に訴求しようと思えば、スナップチャット上で広告キャンペーンを展開した方が有利であることを示唆しています。

「スナップ・アド」や「スポンサード・レンゼズ」など
訴求力の高い新しいスタイルの広告を提供

「タコベル」のスポンサード・レンゼズ。スナップチャット公式サイトより

 スナップチャットは、「スナップ・アド」と呼ばれる広告を2015年半ばから実装しています。「スナップ・アド」は縦型広告を基本としています。これはスマートフォンの画面が縦長だからです。

 また、「音声あり」の広告を標準としており、実際に60%の広告が音声ONで視聴されています。

 さらに、「アタッチメント」と呼ばれる機能を通じて、広告を見たユーザーがすぐにリアクションを返すことを可能にしています。

 スナップチャットは、もうひとつ「スポンサード・レンゼズ」というインタラクティブ広告も提供しています。「スポンサード・レンゼズ」は、自撮り写真をより面白く加工できる、広告付きのエフェクトです。

 このようなユーザー参加型の広告は、訴求力が大きいので広告主から好評を博しています。

売上げは順調に推移するも、
利益はいまだに赤字状態

 2015年に5866万ドルだった売上高は、2016年に前年比+600%の4.05億ドルに増えました。2017年の売上高は10億ドルを超えるだろうと言われています。

 一方、利益の方は、まだしばらくの間、赤字が続く見込みです。ちなみに2015年は3.73億ドルの赤字、2016年は5.15億ドルの赤字でした。

スナップは、サイトの運営をすべて外部へ委託しています。言い換えれば自社でサーバやストレージなどのハードウェアを抱え込んでいないということです。

 外部に委託した運営コストは、すべて費用として計上されます。その関係で、同社の収益構造は比較的シンプルであり、ユーザー当たり売上高とユーザー当たりコストの関係だけを見ていれば、いつ黒字化するかの見当を付けることが出来ます。

 現在は、下のチャートでわかるように、まだユーザー当たりコストがユーザー当たり売上高を上回っており、赤字です。

 しかし、2016年の第1四半期に比べると、ユーザー当たりコストはユーザー当たり売上高に接近してきていることがわかります。

フェイスブックの新サービスが
スナップチャットのライバルに

 スナップチャットは、主にフェイスブックが提供する画像共有サービス「インスタグラム」と競合しています。実際、フェイスブックは2013年にスナップに対して30億ドルの買収提案をしましたが、これはスナップ側から却下されています。

 スナップチャットには「ストーリーズ」という機能があるのですが、インスタグラムもこれを真似て「インスタグラム・ストーリーズ」というサービスを去年の8月から実装しています。

 2015年第4四半期から2016年第3四半期までの間に、スナップチャットは4600万人のデイリー・アクティブ・ユーザーを獲得しました。これは四半期ベースに直すと1150万人です。

 しかし、ライバルのフェイスブックが「インスタグラム・ストーリーズ」のサービスを開始してからは、四半期ベースで僅か250万人のデイリー・アクティブ・ユーザーしか獲得していません。

 このことから「『インスタグラム・ストーリーズ』がスナップチャットの成長を邪魔しているのではないか?」という憶測を生んでいます。

【今週のまとめ】
ユーザー層の若さなど強みも多いが、ライバルの存在がリスクに

スナップは若年層のユーザーを掴んでいるので、その層をターゲットにしたい広告主にとって魅力的です。インタラクティブ性を強調した広告プラットフォームは、訴求力が高いです。

 こうした魅力がある反面、ライバルのインスタグラムがスナップのサービスを真似た「インスタグラム・ストーリーズ」を開始して以来、スナップのユーザー成長に鈍化が見えています。これはリスクだと思います。

【2017年5月1日更新!】

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