世界投資へのパスポート
2017年7月31日公開(2017年7月31日更新)
バックナンバー

「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

タバコのニコチン含有量に関しFDAが新ルール検討!
アルトリアやブリティッシュ・アメリカン・タバコ
など、米国の大手タバコ会社の株価はどうなる?

タバコのニコチン含有量に関して
FDAが新ルールの検討を発表

 7月28日(金)、米国食品医薬品局(FDA)が「タバコのニコチン含有量を、ニコチン依存症にならない水準にまで引き下げることを義務付ける新ルールの検討に入る」と発表しました。

 アメリカでは、オバマ政権時代の2009年に、家族喫煙防止タバコ規制法(FSPTCA)という法律が定められました。つまり、これは比較的新しい法律だという点をまずおさえておいてください。

 その法律では、「タバコ製品に含まれるタール、ニコチン、その他の有害な物質の量を規制する権限はFDAが持つ」と明記されています。言い換えれば、FDAは、家族喫煙防止タバコ規制法により新しく付与された「伝家の宝刀」を、いままで抜かなかったのです。

 しかし、トランプ大統領が新しく任命したスコット・ゴットリーブFDA長官は、タバコの害について個人的に多大な関心を持っています。彼は新法制定後8年間、何も新機軸が打ち出されなかったFDAの、事なかれ主義的なやり方に、新風を吹き込んだのです。

タバコのニコチン含有量を下げることで
タバコの害を抑える狙い

 FDAは、先週7月28日(金)のニュース・リリースの中で、「アメリカでは毎年喫煙により48万人が死亡している」とし、さらに「喫煙が社会にもたらす医療コストならびに生産性低下は、年間3千億ドルの経済的損失となっている」と指摘しました。

 タバコを止めようと思っても、なかなか止められないのは、タバコの中に含まれるニコチンが常習性を持っているためであり、FDAの見解では、ニコチン含有量を依存症にならない水準まで下げることが問題解決の道だというわけです。

電子タバコなどは申請期限が延長されるが
通常のタバコは執行猶予の対象外

 FDAは、ニコチン依存症にならない水準までニコチン含有量を下げることに関し、一般との対話を開始するため、「新ルール制定に関する事前通告(ANPR)」を近く公表する考えです。

 またタバコ会社は、新製品を売ろうとするたびに、その承認申請を出す必要がありました。

 今回、突然ルール変更の意図が発表された関係で、FDAは、比較的最近に規制の対象に組み入れられた葉巻やパイプたばこなどに関しては申請期限を2021年8月8日まで延ばし、さらに電子タバコのような燃えないタイプの新製品についても申請期限を2022年8月8日まで延長する猶予措置を発表しました。

 しかし、タバコや無煙タバコについては、昔から規制の対象であるため、猶予措置の対象とはなりません。

FDAの発表後、大手タバコ会社の株が
一時10%以上下げる大荒れの相場に

 米国のタバコ市場は830億ドル市場で、毎年、-3%前後縮小しています。

 そこでは、北米シガレット市場でのシェア44%を誇る「マールボロ」ブランドを持つアルトリア・グループ(ティッカーシンボル:MO)、ならびに、最近「キャメル」、「ウインストン」ブランドを持つレイノルズを100%傘下に収めたブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ティッカーシンボル:BTI)の2社が幅を利かせています。

 なお、フィリップ・モリス・インターナショナル(ティッカーシンボル:PM)は、アルトリアの海外事業を継承した関係でアメリカ国内の売上はありません。

 先週7月28日(金)の立会では、アルトリア・グループ株は一時前日比-18.9%、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ株が一時前日比-14%近く下げるなど、大荒れになりました。

 結局、安値でバーゲン・ハンターが出動したこともあり、大引けではアルトリア・グループが-9.49%、ブリティッシュ・アメリカン・タバコが-7.04%まで戻しました。

 現在の時点では最終的にFDAがどれほどニコチン含有量を減らすか、具体的なガイドラインが未だ決まっていないので、各社の売上高に与える影響を正しく把握することは困難です。しかし「ポジティブか? それともネガティブか?」と訊かれれば、今回の発表はタバコ株にとって明らかにネガティブと言わざるを得ないでしょう。

 タバコ株は成長が期待できない代り、業績が安定し、配当利回りが高い点が魅力となっています。例えばアルトリア・グループの場合、利益の80%程度を配当に回すという配当方針を持っています。

 今回のFDAの発表は、新しい不確実性をもたらすため、ある程度、株価評価が剥げると考えた方が自然だと思います。しかし、先週金曜日のザラバに見られたような「-18.9%も下げなければいけない材料か?」と言えば、それはオーバー・リアクションだと思います。

 一般に、投資家は新しく出た悪材料は過剰に反応し、その悪材料が持つ長期的な含蓄については軽く考えすぎる習性があります。それが何を意味するかというと、目先はオーバー・リアクションの反動で、短期的な買い場が来ていると考えられます。

 しかし中長期では、ここ数年、タバコ株が投資家にもたらした目を見張るようなリターンが、ずっと継続するとは考えない方が良いかもしれません。

 下はアルトリア・グループの一株当たりの業績のチャートです。なお2016年のEPSはABインベブとSABミラーの事業統合にまつわる特別益(一株当たり$7.10)を含んでいます。

【今週のまとめ】
タバコ会社株は短期的には買い場かもしれないが
長期的には慎重に

 先週7月28日(金)にFDAが発表した、ニコチン含有量に対する新ルール導入は、投資家にとってサプライズでした。2009年に制定された新法が、明らかにFDAにその権限を与えていることから、FDAがルール制定に乗り出せば、それが実現する可能性は高いです。

 しかし、具体的なガイドラインは未だ決まっていないため、いま正確にそのインパクトを測ることは不可能です。このような場合、投資家はオーバー・リアクションすることが知られているので、短期では買い場だと思います。

 しかし同様に、投資家は長期でこの悪材料がもつ含蓄を軽視する傾向があるので、「いままでと同じだ」と決め付け、楽観的すぎるシナリオを描かない方が良いと思います。

【今週のピックアップ記事!】
配当利回り3%後半~4%超の有名企業は「買い」か? 日産自動車やキヤノン、三井物産、三井住友FGなど、高配当な大型株の株価&配当の今後の展望を分析!
「UUUM」のIPO情報総まとめ!スケジュールから幹事証券、注目度、銘柄分析、他のコンテンツ制作・発信企業との比較や予想まで解説!
【2017年8月1日更新!】

「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社

◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
3430銘柄以上
個別株:3110銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:60銘柄以上
約定代金の0.45%
※最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル
【ポイント】
米国株取引に力を入れており、取扱数3000銘柄以上は主要ネット証券では最大! 成行注文や指値注文のほか、逆指値注文、連続注文、ツイン指値(OCO注文)など、多彩な注文方法が使えるのも魅力だ。現在、米国株取引手数料(税抜)を、最大3万円キャッシュバックするお得なキャンペーンを実施中!
【関連記事】
◆【マネックス証券おすすめのポイントは?】日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
【米国株投資おすすめ証券会社】マネックス証券の公式サイトはこちら
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
1390銘柄以上
個別株:1030銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:100銘柄以上
約定代金の0.45%
※最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル
【ポイント】
住信SBIネット銀行の口座を持っていれば、入出金手数料が無料など、便利な「外貨入出金サービス」が利用可能! ダウ・ジョーンズ社が発行する金融専門誌「BARRON’S(バロンズ)」の抜粋記事(日本語訳)や、モーニングスター社による「個別銘柄レポート」など、投資情報も充実している。
【関連記事】
◆【SBI証券のおすすめポイントは?】IPOの多さ&夜間取引、銀行との連携など独自サービスも充実!
◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!
【米国株投資おすすめ証券会社】SBI証券の公式サイトはこちら
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
1300銘柄以上
個別株:920銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:120銘柄以上
1取引あたり25米ドル(1000株まで)
※1000株を超えた分は、1株あたりに2セント追加
【ポイント】
新興国などの個別銘柄を実質的に売買できるADR(米国預託証書)の銘柄数が豊富。日本株と同じ取引ツール「マーケットスピード」でも取引可能で、10種類以上のテクニカルチャートを使うことできる。ダウ・ジョーンズ社の有名金融専門誌から記事を抜粋・日本語訳した「バロンズ拾い読み」も読める。
【関連記事】
【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実!
◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい!
【米国株投資おすすめ証券会社】楽天証券の公式サイトはこちら
※ NYSE(ニューヨーク証券取引所)、NYSE Arca、NYSE MKT、NASDAQに上場する個別株 。
Special topics pr

ZAiオンラインPickUP
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは?
ランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証 アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!


 

9月号7月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【攻め&守りの高配当株&株主優待ベスト117】
攻めと守りで儲かる高配当株」の投資法
今が買い高配当株52銘柄を大公開
高配当株億を作った個人投資家のワザ
・27%超も!「株主優待」目的別ベスト117
・「優待+配当」の合計利回りランキング
確定拠出年金読者損益リアル白書
・17年上半期の投信上昇率ランキング
4年ぶりの買い場高利回りJリート
LINEなど5大ポイントの貯める&使うテク
定年後の5年間でトクする働き方
東芝など不祥事株の売り・買い診断
・東証1部昇格期待株を先回りで狙え!
不足する高齢者施設の問題点とは?

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! クレジットカードに関するクチコミ情報大募集中!