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「富裕層」のお金は、“正しく”逃げているか?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第201回】 2011年10月5日
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『週刊ダイヤモンド』(10月8日号)の特集

 現在発売中の『週刊ダイヤモンド』(10月8日号)は「日本を見捨てる富裕層」という特集を組んだ。停滞する経済、混迷する政治、大きな財政赤字に、原発事故による環境汚染、といった日本の諸問題を見て、日本に見切りをつける資産家の動向についてレポートしている。

 ここは、「ダイヤモンド・オンライン」なので、ダイヤモンド社の商品(記事)は幾ら褒めても構わないわけだが、興味深い特集だ。読者の中にも、富裕層に属する方が多数いらっしゃるだろうし、読者自身が(残念ながら)富裕層に属さないとしても、富裕層の動向はビジネス的にも影響が大きいので、是非把握しておくといい。世界全体の16%に相当する174万人が、日本の「ミリオネア」人口であり、彼らの行動や考え方が幅広く紹介されている。

 記事によると、富裕層を不動産を除く金融資産を1億円以上持っている世帯と定義すると、金融資産が1億円から5億円までの「富裕層」が84.2万世帯で合計資産額は189兆円、5億円以上の「超富裕層」が6.1万世帯、合計資産額が65兆円にのぼるという(「週刊ダイヤモンド」、以下同じ。p37)。お金持ちは、いるものだ。

 彼らが日本を見捨てるというと、日本に残る身からすると、穏やかではないが、日本を離れて海外に移住する「人的流出」と、日本国内の資産以外に金融資産の運用先を求める「金融資産の流出」の二通りの流出があり、特集記事は両方を紹介している。

 海外移住については、治安・衛生の環境が良く子供が英語・中国語を覚える(かも知れない)シンガポールが移住先として人気だが、近年移住へのハードルが上がっていること、フィリピンなどの国に移住して資産を失ってホームレス化するような失敗例も少なからずあること、海外生活にあっては詐欺に注意が必要で特に海外の日本人に要注意であること、など、いかにもという話から、移住実行にあたって気をつけるべきことなどが、興味深く紹介されている。是非、ご一読されたい。

 本稿では、特集記事で、こちらも詳しく紹介されている「富裕層の資産運用」について取り上げてみたい。

 彼らは、果たして、上手に資産運用して、的確に「逃げて」いるのだろうか?

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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