プライベートジェット需要急増、富の象徴No.1にIllustration: Alexandra Citrin-Safadi/WSJ; iStock

 マックス・チューニングさん(35)が自身のサワーキャンディー事業を米菓子大手ハーシーに7550万ドル(約111億円)で売却した際、高級時計のロレックスや夢のマイホームを購入する前に最初にしたことは、妻と友人6人をジェット機「ダッソー・ファルコン900」で、スキーリゾートとして知られるコロラド州ベイルに連れて行くことだった。

 一行は空港で保安検査の列に並ぶ必要がなく、滑走路に直行した。木製パネルで装飾された機内で、ゴールドのアクセントが施された革張りのリクライニングシートに座った。この「冒険」にかかった費用は10万ドルだった。

 チューニングさんが飼っている「ドゥード」という名前のゴールデンドゥードルは足元でくつろいでいた。「愛犬を連れて行くためにプライベートジェットを使わなければならなかった、とジョークで言っている」という。「価格はあまり気にしなかった」

 超富裕層は常にプライベートジェットでの移動を楽しんできた。株価や暗号資産(仮想通貨)価格の高騰で新たな億万長者が生まれる中、この層は拡大しており、今ではさまざまな方法で座席を予約することが可能になっている。

 多くの富裕層にとってプライベートジェットの利用は、高級車フェラーリや1万4000ドルを超えるハンドバッグ「バーキン」、さらにはハンプトンズ(ニューヨーク郊外の避暑地)の海岸沿いの邸宅をも上回る究極のぜいたくな出費となっている。真の富裕層の仲間入りを目指す多くの人々にとって、「プライベートジェット向けの資金」を持つことが新たな目標となり、富裕層上位の1%と0.1%を分ける基準となっている。