今や投資信託の約7割を占める毎月分配型ファンド。低金利時代の今、利回りが10%台と聞くと非常に魅力的に感じるが、その利回りが真実とは限らない……。
元本保証があると勘違いするケースも!
04年頃から人気に火がつき始めた毎月分配型ファンド。今や投資信託の全残高の約7割を占める超人気商品だ。しかし、「毎月分配」という言葉が先行し、内容を誤解している人が少なくない。
「販売員に勧められ、1年前に投信を800万円購入したが、600万円になってしまった。毎月分配するために、元金を取り崩すなんて聞いていない……」
これは昨年11月に、国民生活センターに寄せられた80代男性の声だ。どうやら、「毎月収益が分配される」という言葉に反応して、絶対に損はしないという誤解をしていたようだ。今回、本誌で行なったアンケートの結果を見ても、「元本割れしない安定した商品」という認識の人もいた。
金額ベースでみると、毎月分配型ファンドの約95%は店頭で販売されており、この80代男性と同じような相談は、他にも多く寄せられている。実際に東京・渋谷にある某証券会社の店頭を訪れると、年配の方の姿が目立った。では、店頭取引で販売員と顧客の間で、どのような会話が繰り広げられ、どのような誤解が生じているのだろう。
分配金だけでなくトータルで損益の計算を!
毎月分配型ファンドで勘違いしやすいことの一つとして、分配金利回りがある。分配金の利回りとして、まことしやかに使われているのだが、過去1年間の分配金の合計を現在の基準価額で割り、算出されている。
例えば、分配金が月々100円出ていて現在の基準価額が8000円のファンドがあったとしよう。
この場合、販売員は、「1年間で貰える分配金は、1200円。現在の基準価額8000円なので、利回りは年間で15%ですよ」と説明をしてくることが多い。
しかし、ここで15%もの利回りが得られると勘違いしてはいけない。なぜなら、基準価額の変動が考慮されていないからだ。上の図で説明しよう。まず、過去1年間の利回りを計算する時は、1年前の基準価額を基準に算出すべきである。
そして、さらに重要なのは1年前の基準価額と現在の基準価額の比較だ。
1年前の基準価額が1万円だったとすると、現在の基準価額は8000円のため2000円下落したことになる。すると、1年間で1200円の分配金を受け取っていても、2000円の損失を加味すると(1200円-2000円)÷1万円で、トータル利回りはなんとマイナス8%に。
株式投資においても、配当狙いで投資したものの、株価が下落して損してしまった、なんてこともあるだろう。それと同じだ。
「基準価額は変動する可能性もありますし、分配金も減ることも増えることもございます」
販売員は、にこやかで明るいトーンでリスクを話してくるため、「あくまでも可能性だからな……。めったに減らないだろう」と、雰囲気に流され都合のいいように解釈してしまいがちだ。
見せかけの分配金利回りに浮かれずに、基準価額の変動を考慮し、冷静に損益を見ることが重要なのだ。
店頭でだまされないための4つの心得は以下のとおり!
1 分配金利回りを見せられたら基準価額の推移を聞くこと!
2 基準価額の下落を含めたトータル損益を聞くこと!
3 できるだけ長期間での成績を見せてもらうこと!
4 ファンドを勧められたその日に購入しないこと!
(文/大沢玲子、本誌編集部、イラスト/佐藤ワカナ)
*ダイヤモンド・ザイ2012年5月号より転載
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