【今回のまとめ】
1.失業率急改善で量的緩和政策の幕引きが話題に
2.今週は決算発表シーズンに突入する
3.今回の決算は多くを期待できない
4.トップバッターのアルコアは、シーズン全体を占うのにある程度役立つ
5.「金融政策の面での材料出尽くし」+「悪業績」=株式に×
米国失業率の数字がよすぎた?
米国株式市場はこれまで、連邦準備制度理事会(FRB)のQE3(追加的量的緩和政策第3弾)を好感して買い進まれてきました。
しかし先週金曜日(10月5日)発表の9月の失業率が、7.8%と予想外の急改善を見たことで、投資家のセンチメント(市場心理)が少し変わりつつあります。

具体的には、失業率がこれまでの8%台から7%台に下がったことで、早くも「そろそろ量的緩和政策の幕引きを心配すべきではないか?」という声が出はじめているということです。
もっとも、今回の失業率の改善に関しては、パートタイム(臨時雇い)の急増に助けられたなど、懐疑的な声も大きいようです。
ちなみに、9月の非農業部門の雇用者数は+11.4万人でした。これは大方の予想通りでした。

なお7月ならびに8月の非農業部門雇用者数は、それぞれ上方修正されています。7月は4万人、8月は4万6000人、上方修正されました。

いずれにせよ、投資家の心情は「無期限かつ無制限の量的緩和が続くと頭から決め込んで株式を買い進むのは、まずいぞ」という状況になっているわけです。
いま、米国企業の業績に多くは望めない
今週(10月8日~12日)から、米国では第3四半期の決算発表シーズンを迎えます。
前回の第2四半期決算では、EPSで市場予想を超えることができた企業は全体の59%、また売上高で市場予想を超えることができた企業は48%でした。
また今回は決算に先だって、すでにいくつかの企業が利益警告をしており、早くも波乱含みの様相を呈しています。
今回の第3四半期のS&P500の利益成長率は-2.2%程度になると予想されています。

つまり、企業業績面からは多くを望めないわけです。
アルコアの決算で全体動向を占うことができる
大手企業の中で最初に決算発表するのはアルコア(ティッカー:AA)で、現地9日(火)の引け後(日本時間:10日の早朝)を予定しています。コンセンサス(アナリスト予想の平均)は、EPS(1株あたり純利益)が1セント、売上高が55.7億ドルです。
アルコアはアルミニウムのメーカーであり、アルミニウムは自動車、建材、航空機などに使用されることから、景気に左右されやすいことで知られています。
過去10年間で見ると、アルコアの決算が市場予想を上回ったときは、その四半期のS&P500指数は平均して+3.9%上昇し、逆に予想を下回った場合はS&P500指数は-0.6%を記録したと、調査会社であるファクトセット社は報告しています。
なお、今週アルコア以外で重要な決算発表は、12日(金)のJPモルガン(JPM)とウエルズファーゴ(WFC)で、JPモルガンは1.19ドル、ウエルズファーゴは87セントがEPSのコンセンサスになっています。
まとめると、金融緩和面での材料が出尽くした上に、業績面でも不安に満ちた決算シーズンを迎えるとあって、目先の相場にはあまり期待しない方がよいと思いますが、それを占うアルコアの決算を見極めたいと思います。
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