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2013年はLNG(液化天然ガス)に注目!日本のエネルギー価格は安くなるのか?

【第245回】 2012年12月25日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.冷やすことで体積を減らし、運びやすくするのがLNGのねらい
2.米国のシェールガス開発は運搬手段を考えず、市況低迷を招いた
3.巨大なインフラ投資を可能にするためには長期契約は不可欠
4.天然ガスの長期需要見通しは明るい
5.アフリカのモザンビークで進む天然ガス開発に注目

「LNG」とはなにか

 LNGとは「液化天然ガス」の略で、天然ガスをマイナス160度まで冷却し、液化したものです。それではなぜ、天然ガスをわざわざ液化するのでしょうか?

 それは、気体である天然ガスを液化することで、体積がそれまでの600分の1になり、運びやすくなるからです。

 天然ガスはクリーンなエネルギーで、世界の各地域にふんだんに存在します。しかし気体であり、取り扱いが難しいので、これまでは天然ガスが出る生産地に近いところでしか消費できませんでした。パイプラインで天然ガスを輸送することはできますが、距離が遠いとパイプラインを敷くコストがかさみます。

 このように「生産地=消費地」というのが、昔の天然ガス業界の常識だったのです。

米国のシェールガス大増産は、ただの「おなら」?

 ところで、米国では近年、「シェールガス」がブームとなっています。シェールガスは「頁岩(シェール)」層に閉じ込められた天然ガスのことです。シェールにガスが閉じ込められていることは、昔から知られていましたが、それを効率的に取り出す方法がなかったのです。

 1990年代に入ってから、「ホリゾンタル・ドリリング(水平掘り)」という新しい技術が普及しました。これは一旦、地下深くに垂直に掘り進んだ後、ドリルビットを抜いて、代わりに自走式でどの方向へも走れるドリルに入れ替え、横(水平)に掘ってゆくことで天然ガスが閉じ込められている地層を最大限に貫通することができるわけです。

 もうひとつの重要な技術は「フラッキング(破砕法)」と呼ばれるもので、水平に掘った穴をまずセメントで固めてから、そのパイプのところどころに爆破装置で穴をあけ、シェール層に亀裂を作って、そこから天然ガスがパイプに流れ込むようにする技術です。

 また亀裂を入れたシェール層にはプロペントと呼ばれる特殊液を流し込み、亀裂を広げることで気体を流れやすくします。

 このような新技術の導入で、米国の各地でシェールガス開発がおこり、ブームの様相を呈しました。問題は(とても効率的に生産することはムリだろう)と諦めていた場所からどんどん天然ガスを生産することができるようになったので、生産した天然ガスを消費地まで持って行く手段まで頭が回らなかったことにあります。

運搬手段のない天然ガスは、“おなら”と同じです。扱い方がやっかいなだけで、そこに商品価値はありません。

 米国で天然ガス価格が低迷したのは、そのような事情があります。

※参考記事(シェールガス採掘法の図解も掲載):「領土問題の背景にもあるエネルギー争奪戦の新星!米国発の「シェールガス革命」は日本の関連銘柄にもビッグチャンスだ!」

「日本の天然ガスは不当に高い」という誤解

 これまで説明してきましたように、天然ガスはクリーンなエネルギーだけれども、扱い方がやっかいなので、生産地と消費地が近くなければいけないという制約がありました。

 その束縛から逃れ、遠い消費地(例えば日本)に天然ガスを届ける方法が「LNG」なのです。

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