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「アメリカはいずれ死刑制度と決別する」
米死刑情報センター(DPIC)幹部に聞く

週刊ダイヤモンド編集部
【第22回】 2008年9月9日
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ニュージャージー州の死刑廃止を受けて、米国で死刑制度の是非を問う議論が再び活発化している。米国随一の死刑問題研究センターであるDPICのリチャード・ディーター博士は、いずれ全州が死刑制度と決別する日が来ると予測する。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子)

リチャード・ディーター(Richard Dieter)
リチャード・ディーター 死刑情報センター(DPIC)エグゼクティブディレクター

 米国民は今、死刑について非常に混乱した状態にある。DNA判定で多くの犯罪の潔白が証明され、刑事司法システム全体について疑いを持つ人が増えた結果、死刑判決やその執行率が激減した。

 その一方で、米連邦最高裁が4月に、薬物注射による死刑執行が受刑者に肉体的苦痛を与えているというケンタッキー州の死刑囚の訴えを退け、合憲との決定を下したことで、停止されていた死刑執行が再開された。

 今、死刑執行は1ヵ月に5~6件と通常より速いペースで行なわれており、米国民はこれから死刑が増え続けるのではないかという印象を持っている。

 それでも歴史的に見れば、死刑は減少傾向にあると見るのが正しい。1990年代には毎年300人が死刑判決を受けていたが、いまや110~120人と約3分の1に減った。執行件数も1999年には100件あったが、一昨年は53件、昨年は42件と減った。

 減少の背景にあるのは、死刑執行に至る司法システムの随所で関係者が注意深くなり、過程が長引いているからである。

 過程が長引けば、新しい証拠を探したり、優れた弁護士を雇ったりすることができる。この国では、たとえ罪を犯したことが明らかでも、経験ある弁護士や専門家を雇い入れるカネがあれば、裁判で死刑を免れることがよくあるのだ。

 死刑に関する現在の論点は、極刑としてそれがふさわしいかどうかではない。人道的に死刑に反対する人びとはわずか20%ほどで、そのほとんどは、現在の刑事司法システムを非効率的、非生産的なものと見なすゆえに反対している。

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