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献魂逸滴 極上の日本酒を求めて

山間(やんま)――“淡麗辛口”至上主義から決別した新潟酒の大本命

柳 紀久夫
【第4回】 2010年4月16日
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 国内最多の96の酒蔵を有する新潟県は、押しも押されもせぬ清酒大国である(現在、全国の日本酒蔵の数は1700軒を割り込んだと見られている)。そしてまた、酒質のコンセプトである“淡麗辛口”は新潟酒の代名詞として今もなお、多くの左党に認知されていることも論を俟たないだろう。

かつての「水っぽい二流酒」が
「淡麗辛口の美酒」に一変? 

T4 亀口直詰 生 〔季節限定品〕
3150円(1.8L/税込み) 720ml(1,575円/税込み)もある。 「T4」とは「4号タンク」のこと。フレッシュなガス感が残っているため、重厚な味わいながら軽快で軽やか。飽きることなく、ついつい杯が進む。

 1970年代半ばに「越乃寒梅」が新聞や雑誌で取り上げられるようになる前までは、ミネラル分の少ない超軟水で仕込まれる新潟の酒は概して「味のしない、薄っぺらい酒」として、地元以外では受け入れられなかったという。

 ところが状況は一変した。日本酒といえば濃くて甘い酒が支配する時代にあって、「越乃寒梅」のような透明感のある、きれいでドライな飲み口が“水っぽい二流酒”ではなく、“淡麗辛口の美酒”として賞賛されるようになったのだ。そうなると、他の蔵が「この機に乗じない手はない」とばかり「越乃寒梅」に追随するのは無理からぬ話で、自社の酒質をこぞって淡麗辛口へとシフトしていった。

 日本酒の出荷量(課税移出数量ベース)が73年にピークを迎え、その後下降線をたどるなかにあっても新潟酒は伸び続け、88年には秋田県を抜いて全国第3位(1位は兵庫県、2位は京都府)に躍進。こうして新潟の淡麗辛口酒はその地位を確立していったのである。

 しかし現在、時代の要請は芳醇旨口へ突入。にもかかわらず、新潟県酒造組合は「新潟淡麗」を標榜し、新たに開発した酒造好適米も「越淡麗」と命名するなど、新潟県はいつまで淡麗辛口に固執するのか。その訳がどうしても知りたくなり、新潟経済特集の取材という名目で2007年2月に新潟県醸造試験場を訪ねた。

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柳 紀久夫

1956年、東京・神田に生まれる。元「週刊ダイヤモンド」編集委員。大学在学中に日本酒に開眼。以来、酒屋放浪では飽き足らず、日本酒を媒介にしたネットワーク作りや日本酒イベントの発起、取材に便乗しての全国地酒探訪に注力。週末はひたすら極上の日本酒を求めて各地の酒販店・酒蔵を巡る。


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