ユーロ安が止まらない。日本企業の欧州依存度は低いとはいえ、何せ大幅な円高・ユーロ安。この状態が続けば、収益への悪影響も無視できないレベルになる。主要企業の収益影響度を探ってみた。(文/ダイヤモンド・オンライン、原英次郎)

 欧州の共通通貨ユーロは、依然として不安定な動きを続けている。EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)が、EU全体も視野に入れた8600億ユーロにも及ぶ救済策を講じ、ギリシャ国債の元利払いにはメドが立ったといっても、問題の根源である財政赤字の解消には、疑問符がついたままだ。

 デフォルト(債務不履行)という目の前にある危機は乗り越えても、病根の治癒にメドがつかない以上、市場関係者のほとんどは円高・ユーロ安が続くと見ている。ユーロ安につられて、円に対してドルまで弱くなると、日本企業にとってはつらい。

 そこで、ドルとユーロが1円変動すると、利益にどのくらい影響するかを調べてみた。表は主要企業の売上に占める米国(北米)、欧州の比率と、今2010年度の業績予想の前提となっている為替レートをまとめたもの。この表から分かるように、ドルはほぼ想定線で動いているものの、現状、ユーロは前提よりも大幅な円高・ユーロ安となっている。

 では、ドルやユーロが1円動いたら、利益はどうなるのか。それを示したのが、表の最後の2行だ。全体としてみれば、米国に比べると欧州圏の売上比率は低いために、ドルに比べて、円高・ユーロ安の影響は小さい。しかし、まだ各社とも業績は回復の途上にあり、その絶対的な水準は高くないため、このまま大幅な円高・ユーロ安が定着してしまうと、利益を下押しする影響は無視できないレベルになる。