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インターネット、iPhone、iPadの時代を迎えても
なお人気を博するアメリカ公共ラジオ局の先見性

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第101回】 2010年6月30日
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 インターネット、そしてiPhoneやiPadのアプリ時代を迎えてもなお、人気を呼んでいるラジオ局がある。NPR(アメリカ公共ラジオ局)である。

 NPRは、以前からも多くのファンを抱える人気局だった。掘り下げたニュース番組である朝の『モーニング・エディション』や夕方の『オール・シングズ・コンシダード』、あるいは、ドキュメンタリー作家から政治家、アーティストまで幅広い相手にインタビューする『フレッシュ・エアー』といった番組は、毎日欠かさず聞く視聴者がたくさんいる。

インターネット時代に
NPRが人気を集める二つの理由

 この時代にラジオ? といぶかしがられるかもしれないが、車社会のアメリカでは、意外にもラジオが長寿メディアとして生き残っている。しかも、朝晩の通勤時間の手持ち無沙汰を癒してくれるだけでなく、知的な刺激を与えてくれるNPRは、がなり立てるばかりのテレビ番組にうんざりしているインテリ消費者には、なくてはならないものなのだ。

 さて、そのNPRがインターネットとアプリ時代にさらに注目を集めている理由は二つある。

 一つは、かなり早い時期にウェブサイトでストリーミングを始め、古くさいラジオ局からインターネット・ラジオ局への変身を遂げたこと。NPR自体のアプリをiPhoneやiPad用につくったことも重要だ。もう一つは、NPRの音楽コーナーが、意外にもミュージシャンの登竜門としての役割を果たし始めたことだ。

 NPRのウェブサイトは、最新のニュース・サイトの役割を果たしながら、クリックひとつでラジオのストリーミング・サイトになる。文字ばかりのニュースを読むのは疲れるが、その同じ内容を耳から聞けるのは実に便利である。ちょうど、本を読むのはおっくうでも、オーディオ・ブックならばリラックスして聞けるのと同じことだ。

 また、アプリ開発もラジオ局として先見の明があったと言える。そもそも、絵も画像もないラジオ局がアプリに進出するには、変化球が必要だろう。そこでNPRがやったことは、アプリ上のレイアウトで番組を分野別にずらりと並べ、使いやすくしたこと。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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