<今回のポイント>
1.米国株式市場は先週も好調だった
2.ドルが2月以降反落したことが支援材料となった
3.ドル安の背景には日銀の「手詰まり感」がある
4.原油、ゴールド、新興国株などのリスク資産はドル安の恩恵で上昇
5.ドル/円の111円付近は、注目に値する
米国の株式市場は年初来プラスに
2月の底打ちはドルの反落が要因
先週の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が+1.59%、S&P500指数が+1.81%、ナスダック総合指数が+2.95%でした。
米国株式市場は2月11日に底打ちした後、ほぼ一本調子に戻してきました。このためダウ工業株価平均指数とS&P500指数は4月1日の時点で年初来プラスとなっています。
2月に米国株式市場が底打ちしたのは、これまでずっと強かったドルの勢いが2月に入ってから弱まったことに呼応しています。
ドル安の背景には日銀、欧州中央銀行の「手詰まり感」
米国の輸出見通しはドル安で好転へ
ドルが安くなっているひとつの理由は、マイナス金利導入後の日本に見られるように、金融緩和が景気支援どころか逆効果を招きかねないということが理解されたため、とたんに「手詰まり感」が広がったことによると思います。
つまり日銀の力だけではこれ以上、円安を演出することがムリになっているのです。
同様の「手詰まり感」は欧州中央銀行(ECB)に関してもあてはまります。
ドル安は米国の輸出企業を助ける働きをします。このため輸出比率の高い優良株を中心に、それらの企業の業績は今後回復に向かうと言う期待が出ています。
米国の株式市場がするすると戻したのは、このためです。
ドル安で原油や金などコモディティが反発
ドル/円の111円の水準を意識せよ
原油価格はドル建てで取引されている関係で、ドル安になると原油価格は反対に強くなることが知られています。このセオリー通り、原油価格は2月の半ばから切り返しています。
金価格は一足先に12月に底入れし、第1四半期中は過去30年で最も大きな上昇を記録しました。
冒頭のグラフに見られる通り、ブラジル、メキシコなどの新興国の株式も好調でした。これらの国々はコモディティの輸出に依存しています。またドル安局面ではアメリカの投資家は海外投資、とりわけ新興国への投資に積極的になることもこれらの市場が人気化した原因だと言えるでしょう。
このところの世界のマーケットの動きは、このようにドルの動きで説明できる部分が大きいです。
そうである以上、今後もドルからは目が離せないと思います。
そこで重要になるのがドル/円の動きです。111円の水準はこのところの下値支持を形成しています。
もしドルがこの水準を割り込んでズンズン下がるのであれば、米国株、原油、ゴールド、新興国株などはもう一段高が期待出来るでしょう。
逆にここでドルが反発するのなら、それらのリスク・トレードは一服になると思います。
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