非農業部門雇用者数は、わずか+3万8000人
利上げ観測は9月に後退した
先週金曜日に発表された5月の雇用統計は「あっ!」と驚くような悪い数字でした。
これにより6月15日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は、ほぼゼロになりました。
その次の7月27日のFOMCでの利上げも、ちょっと考えにくいです。
いちばん自然なシナリオは、夏休み明けの9月21日のFOMCで利上げするという線です。
5月の非農業部門雇用者数は、予想+15万8000人を大幅に下回る+3万8000人でした。これは2010年9月以来、最低です。
若者が成人し、労働市場へ入って来るというような自然増を考慮に入れれば、アメリカの失業率が増えないようにするためには、最低限、毎月、10万人の雇用の増加が必要だと言われています。
今回の+3万8000人は、あきらかにそれを下回りました。
さらに3月と4月の数字も、合計すると6万人近く下方修正されました。
セクター別ではヘルスケアが+4万6000人新規の雇用を創出しました。しかし、その他のセクターは、横ばいか、減少でした。
このところ米国の住宅市場がしっかりした展開になっていたので、当然、建設業でも雇用が増えていると期待されたのですが、そこで雇用がぜんぜん増えていなかったのは意外でした。
市場参加者は6月の利上げはほぼないと予想
9月の利上げも五分五分と予想している
失業率は、予想4.9%に対し、4.7%でした。
この数字は、一見すると良いように見えますが、実際には求職をあきらめた人の増加が改善の原因です。だから素直に喜ぶことは出来ません。
5月の平均時給は5セントの上昇でした。
また4月の平均時給も、これまでの8セントが9セントに上方修正されました。言い換えれば、今回の雇用統計では、平均時給のみがしっかりした数字だったということです。
この雇用統計を受けて市場参加者はどう反応したのでしょうか?
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートと呼ばれるものです。フェデラルファンズ・レートは先物が上場されています。その取引価格を見れば、市場参加者が利上げ時期をいつ頃と予想しているか? をうかがい知ることが出来ます。
そこでフェデラルファンズ・レートの先物価格から逆算される、利上げ確率をしらべてみましょう。
次の連邦公開市場委員会(FOMC)は6月15日です。現行の政策金利は0.50%ですので、それが0.75%になる確率が問題になるわけです。先週金曜日(6月3日=黄色)の時点で0.75%となるシナリオにはわずか3.8%の確率しか与えられていません。
つまり6月15日のFOMCでの利上げは、まず無いと考えて良いのです。
その次のFOMCは7月27日です。こちらの確率は31.3%(30.2+1.1)です。
7月27日のFOMCでは記者会見が予定されていません。したがってその日は利上げしないと考えるのが順当だと思います。
さらにその次のFOMCは9月21日になります。ここでの利上げ確率は47.6%(39.5+6.1)です。
つまり、ここで初めて「五分五分」の確率に近づくというわけです。
9月まで利上げナシなら、いま何をすべき?
悪い雇用統計に敏感に反応した金鉱株に注目する理由
このように市場は「9月まで利上げは無い」ことを織り込んでいます。言い換えれば、次の利上げまで、3カ月の猶予があるというわけです。
すると投資戦略としては今、何をすべきでしょうか?
相場の格言に「相場は相場に聞け」というのがありますが、金曜日の悪い雇用統計を見て、一番敏感に反応したセクターを素直に買ってゆけば良いと言う考え方が出来ると思います。
金曜日、最も華々しく値を飛ばしたのは、金鉱株です。
つまり、ここは金鉱株に飛び乗れば良いのです。
とりわけニューモント・マイニング(ティッカーシンボル:NEM)は、これまでの高値35.75ドルにあと0.35のところまで肉薄しています。そこを抜ければ、値動きが軽くなることが予想されるので注目です。
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