民主党代表選で菅総理が再任され、今日にも内閣改造が行なわれて新内閣が発足します。世論調査で支持率が7割を超すなど国民の支持は高いですが、円高・デフレ・財政赤字という三重苦の中で正しい経済財政運営を行なってくれるかという面では、不安が一杯と言わざるを得ません。

 それでは、新内閣の経済財政運営が正しい方向に向かっているかどうかを見極めるに当たっては、どのような点を注視していけばいいでしょうか。

 新内閣が円高・デフレ対策をしっかりやっているかが第一の試金石となるのは当然です。経済対策を策定し、6年ぶりに為替介入を行ないましたが、それだけでは不十分です。思い切った財政拡大、一層の金融緩和に向けた日銀へのプレッシャー(日銀法改正など)まできちんと踏み込めるか、といった点を注視すべきだと思います。

 それ以外に、今後は二つの点に注目していくべきではないでしょうか。一つは、菅総理が誤った経済認識を改めてくれるかです。

 菅総理は代表選中も“雇用”を連発していましたが、政府が成長分野で雇用を作れば経済が活性化するという考えは、まったく間違っています。雇用は経済成長の結果として産まれるものであり、まず成長が必要なのです。

 それは、例えば菅総理も言及している介護・保育といった成長分野を考えてみれば明らかです。これらの分野に財政を支出して雇用を増やすのは合理性があります。しかし、政策対応がそれだけだったら、民間の参入や事業拡大は進まないので、結局政府が永遠にお金を出し続けないといけなくなり、政府が支出を止めた瞬間に雇用は失われてしまいます。