12月19日の金融政策決定会合後の記者会見で、質問を聞く日銀の植田和男総裁12月19日の金融政策決定会合後の記者会見で、質問を聞く日銀の植田和男総裁 Photo:JIJI

12月の利上げ見送り
慎重策を選んだ日銀

 日本銀行は、12月18、19日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コールレート(翌日物)の誘導目標を0.25%に据え置くことを賛成多数(賛成8、反対1)で決定した。

 金融政策決定会合後の記者会見で日銀の植田和男総裁は、利上げを見送った理由として「経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになる」という基本方針を確認した上で、

(1)賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金の動向についてもう少し情報が必要

(2)米国をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性も大きい状況が続いている

という二点を挙げた。

 利上げが12月か1月かで事前の予想は割れていたが、1月までに利上げするという点で見方は一致していた。1月まで待てば、賃上げ動向に関する労使双方の発言が増えてくることに加え、支店長会議に向けた企業へのヒアリング情報も入ってくる。

 また、1月20日にはトランプ氏が米国の大統領に就任する。トランプ政権の経済政策を巡る不確実性も、1月の金融政策決定会合までには(十分とまで言えないものの)多少は薄らいでくるだろう。

 12月に利上げをしなくても1月に利上げを行えば、中立金利に向けての連続利上げというメインシナリオに変更はない。そうであれば、12月に無理して利上げする必要がないという日銀の判断はおかしなものではない。