「責任は日本にある、ただちに船長を無条件釈放せよ、さもなくば後味の悪い結果を一切日本が背負うことになる」――。9月19日、外交部のスポークスマンの発言を新華社が伝えた。尖閣諸島沖の日本領海で起きた中国籍漁船衝突で、日本政府が中国人船長の拘留を延長させたことに対し、中国は報復措置をとると強硬な姿勢を示した。
「まずいことになった。このまま反日ムードが高まると競合相手にシェアを奪取されてしまう。ましてや政府系プロジェクトは落札できない恐れもある」などと、上海では多くの日系企業が頭を抱えている。
「報復措置」の報道を待つまでもなく、宝健日用品有限公司(北京市)も、10月に予定していた1万人規模の日本への社員旅行を中止した。同社のキャンセル料は数千万元にも上り、日本もまた予測されていた1億3000万円以上の経済効果(中国人観光客が日本で消費する一人当たりの金額は平均13万円)も失った。
報復措置とは閣僚級の交流停止以外にも、航空路線増便交渉の中止、訪日旅行の規模縮小にも及んでおり、経済的な打撃を受ける範囲は中国市場のみならず、中国人訪日客を当て込んだ旅行・ホテル業界や周辺産業など日本国内にも広がる恐れがある。
領事館前の抗議活動
ところで、9月7日に起きた尖閣諸島沖での中国漁船接触事件だが、日本では次のように報道された。
「沖縄県・尖閣諸島の久場島で、操業中の中国漁船を海上保安庁の巡視船『よなくに』が発見し、領海外へ退去するよう警告した。漁船は逃走し、よなくにに接触したのち、巡視船『みずき』にも接触した。よなくには甲板の支柱が折れ、みずきは右舷に高さ約1メートル、幅約3メートルのへこみができた」
拘留された中国漁船の乗組員15人のうち14人は13日に釈放されたが、船長は引き続き拘留となった。以降、中国のメディアは連日「船長送還」を要求、9月18日に向けて記事のトーンを強めていった。