郵政民営化が始まった。これから10年かけ、段階的に「民」になりそうだが、着地点は既におぼろげながら見える。民営郵便局との付き合い方もまた、徐々に見えてきた。

 8月から9月にかけ、新聞の投書欄に、主に一部郵便料金や小為替、各種手数料などの値上げを嘆いたり怒ったりする内容の投書がいくつか載った。これに対して、9月下旬、2年前の小泉劇場・郵政選挙時の多くの国民の投票行動を指弾、税負担のなかった郵便局が負担義務を負うのだから値上げは当然、熱に浮かされて国民自らが選んだ道だとする投書が応えた。その通りだろう。だが、この道の険しさが本領を発揮するのはこれからのことである。ここではその険しさを、金融商品の取扱いという面に焦点を当て探ってみよう。

手数料稼ぎが最重要の目標

 まず、05年10月に始まった投資信託。現在、郵便局の投資信託残高は約1兆円だそうだが、09年度末までにこれを5兆円に持っていくという目標が掲げられている。2年かけて1兆円だったのを、これから2年半で4兆円増やすというのだ。かなり激しい売り方が展開されると考えねばならないが、金融商品取引法との絡みは大丈夫だろうか。

 その一つの武器になりそうなのが「抱き合わせ販売」で、既に実験済みである。今春、投資信託取扱郵便局で「Wスタートキャンペーン」が実施された。郵便定期貯金と投資信託を同時購入すると、JCBまたはVISAのギフトカードをプレゼントするというものだ。これは、定期預金と投資信託や外貨預金を同時購入すると定期預金金利を優遇するという民間銀行得意の手法の模倣だが、新聞報道によれば、このおかげで投信販売に1千億円の上積みがあったという。