マジック・フレーズとは
相手にしてほしいこと――してほしくないこと――を伝えて、そのとおりにしてもらううまい方法はないものか。
例えば、図書館で騒いでいる中学生、高校生に注意を与えて、静かにさせるにはどうしたらよいか。
ここで登場するのが、「マジック・フレーズ」である。
「マジック・フレーズ」とは、それを使うことで、以後の発言がスムーズに受け入れられる働きをする言葉をいう。
抵抗を和らげる一言の使い方
禁煙車と気付かないで、中年の男性がタバコをふかしていた。そこへ、もう1人の男が近づいてきて言った。
「まことに恐れ入りますが」
穏やかな口調でこう切り出し、
「この列車、禁煙車なんです。タバコをやめていただけると、助かるんですが……」
言われた男性は、
「これは失礼しました」
と、すぐタバコを灰皿の上でもみ消した。
マジック・フレーズ使用例である。
もう一例。
最近は、図書館・公民館などのロビーは広くとってあります。ロビーにはベンチが置いてあるんですが、中学生や高校生がゴロンと寝ころんでいる姿をよく見かけます。
いまの子供たちは体も大きいし、うっかり注意して面倒に巻き込まれたくないと思うんでしょうか。だれもなんとも言わないんですね。
わたしは職員として放っておけない気持ちもあって、声をかけるようにしています。そのときは、
「ごめんなさい」
「大丈夫ですか」
「具合でも悪いの」
といった言葉を、まず最初にかけます。
大抵の子供は起き上がって、こちらを見ます。そこで、もう一度、
「具合が悪いの?」
「いいえ」
「大丈夫?」
「ええ」
と声を掛けます。