全国に850店以上を展開する、うどんチェーンの丸亀製麺。厨房で他の店員さんとは違った制服の人を見かけたことはないだろうか? 全国に約1700人いる「青い制服の人」の秘密を解き明かそう。(イトモス研究所所長 小倉健一)
丸亀製麺の「非合理的」戦略
丸亀製麺は讃岐うどん専門店として「手づくり」「できたて」を追求するブランドである。合理的な戦略と非合理的な店舗づくりが見事に組み合わさって、同チェーンの成長を支えている。
ビジネスの成功には理屈や合理性だけでは説明できない要素が数多く含まれる。ビジネスは人間の活動であり、合理的な判断やデータに基づく意思決定が重要視される一方で、感情や文化、信念が大きく影響を及ぼす場面も多い。
例えば、ある企業が新製品を開発する際、理論的には市場調査を行い、需要があると判断される商品を提供するべきである。
しかし、時に市場調査の結果が芳しくなくても、創業者やリーダーの直感に基づいて開発された商品が大成功を収めるケースがある。スティーブ・ジョブズが率いたアップルのiPhoneの開発はその典型例だ。
当時の携帯電話市場は既存の機能を拡充する方向性が主流であったが、ジョブズはアプリケーションを中心に据えた全く新しい製品を提案した。市場調査のデータからは必ずしも支持されなかったようだが、結果的に市場を一変させる大きなイノベーションとなった。
丸亀製麺は非合理的な戦略を取り入れ、成功を収めたチェーンストアである。