就職は売り手市場
歴史や物語がある

 地方への移住で問題になるのが雇用である。児島氏のように起業するという例もあるが、働き場所を探す人もいる。そのため北九州市では「U・Iターン応援プロジェクト」を立ち上げ、求人企業とのマッチングを実施している。専用のHPで登録すると、登録市内企業への面接エントリーが可能になり、企業側からのスカウトメールも届く。現在、登録市内企業は約1350社あり、16年度は142人の就職が決定したという。

 同市は官営八幡製鐵所の時代からものづくりのまちであり、即戦力人材を求めるグローバルな中小企業が多い。有効求人倍率も1.40倍( 16年11月)と売り手市場だという。

 16年12月からは、50歳以上に限定した「セカンドキャリア支援プロジェクト」もスタートした。同市にゆかりのある首都圏大企業と連携し、マネジメントなど豊富な経験を持つアクティブシニアを、市内中小企業の中核を担う人材として受け入れる仕組みだ。

 社長の右腕や、事業承継のギャップを埋める人材など、通常のハローワークに出しにくい募集もあり、市内企業からの期待は大きい。自分のキャリアを信じて同市への転職を考える、というのも大いにありだ。 

 住みたいまちの条件として、街の活気も大切になる。北九州市には北九州空港があり、昨年12月にはジンエアー定期便も就航(釜山・ソウル=北九州線)、インバウンドが隆盛だ。外国人観光客は11年の6.5万人から15年の25万人へと増加した。

 同市のツーリズムの特徴ともいえる「産業観光」は、ものづくりの現場を訪れ、広く産業に関する”見学と体験”を行う観光のことだ。旧来型の物見遊山的な観光と異なり、知的好奇心を満たす旅として大人が楽しめる。ダイナミックな工場夜景や、公害克服の歴史や環境について学べる環境観光、工場や資料館、産業遺産など、歴史や物語があるまちは”深み”がある。

八幡西区通称ロボット村にある 「安川電機みらい館」では、 ものづくりの魅力や 最新技術を見学できる

 官営八幡製鐵所は、明治日本の産業革命遺産の構成資産として、世界文化遺産に登録され、近年、戸畑祇園大山笠行事がユネスコ無形文化遺産に登録された。地元企業の企業博物館である、「安川電機みらい館」「TOTOミュージアム」なども人気のスポットになっている。15年には産業観光だけで、過去最高の56万人を数えた。

 産業に培われた観光資源が、住みたい街の魅力を増幅させている(第2回へ続く)。

角打ちの勧め

酒屋の店先で飲むことを「角打(かくう)ち」と言い、北九州市内には「角打ち」ができる酒屋が150 軒以上存在するという。もとはと言えば製鉄所の労働者向けに始まったものだが、この気取りのない店先では、知らない者同士でもすぐに打ち解けあう、庶民の情が交わされている。

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北九州市広報室報道課
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