小室 困りますーみたいな(笑)。

青野 「俺、いらなかったのか?」って(笑)。社長的にはショックだったんですけど、でもそういうことがあると、確実に空気が変わりますよね。

「育児あっての商売だよね」
という風土が定着した

小室 もう少し具体的に言うと、何がどう変わったんでしょうか。

青野 「価値基準」とか「風土」という言葉をよく使うんですけど、風土ってもっと言うと「優先度」なんです。サイボウズにおいて、育児をすることと商売をすることとどっちが大事かというと、間違いなく育児ですよ、と。「育児あっての商売だよね」という優先度が、社員の中で当たり前になってきたんだと思います。なので、育児をする人を、もちろん親も頑張るけど、部の人もできる範囲で支援してくれると。

小室 コミュニケーションはどう変わりました?

青野 かつては育児で抜ける人は申し訳なさそうに帰っていたんですけど、今は割合余裕ですよね。

小室 帰るときに「申し訳ない」という気持ちがあると、「時間無制限で働ける人が上」という上下関係ができてしまいますよね。どんなに能力が高い人でも、下の層に位置づけられてしまうと、モチベ―ションも落ち、能力を発揮できなくなります。

 ダイバーシティによるイノベーションは、異なる立場や価値観を持つ人が対等な目線でディスカッションをして初めて起きるもの。少数派の人が申し訳なさそうに意見を言っても、受け入れてもらえないし、イノベーションも起きない。少数派も堂々と意見を言える空気・風土を作るからこそ、多数派の中に気づきが生まれて、イノベーションにつながるわけです。そもそもイノベーションを起こしたいからダイバーシティに取り組むはずなのに、「労働時間に事情のある下層社員も、いさせてあげる」という保護制度になっている企業が本当に多いと思います。

青野 だから管理職には、ぜひ少数派側に入ってほしいです。少数派側から見える世界を見てほしいですね。

小室 多数派の人が、少数派の人の感覚を体感するためには、どうすればいいでしょうか。

青野 在宅勤務でもなんでも、率先してどんどんやってみることです。

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