働くことをもっと
楽しいことにしていきたい
青野 「働くことがつらいこと」という価値観がまだ主である気がしますが、「働くってもっと楽しくて、自分らしくいられることであって、人に貢献して感謝されることでもあり、幸せの塊だよね」という発想に切り替えていきたいというのが僕のビジョンです。「時代の流れだから、とりあえず残業を減らしておこう」という話じゃなくて、働くことを、もっと多様で楽しいものに変えていきたいですね。

小室 私が最も危機感を持っているのは、何十年と続いた日本の長時間労働によって、その両親を見てきた今の大学生ぐらいの子たちに、トラウマが刷り込まれている現状です。きわめて優秀な女子学生が「うちは母が再就職してから家の中で喧嘩が増えて、離婚した。女性は働いたら家庭が壊れる。私は結婚したら仕事は辞める」と決め込んでいたり、誰からも信頼の厚い男子学生が「父親の長時間労働で、いつも母親ばかりが苦労して泣いていた。仕事は家族を不幸にするというネガティブな感情しか持てない」と悩みながら就職活動していたり。
日本の長時間労働社会は、次世代をどれだけ傷つけて来たんだろうか。もうこんな働き方は、私たちの世代で終わりにしないといけないと思っています。
青野 若い子たちは、自分と親との関係で起きたことを基に捉えているんですね。
小室 私も、長男がまだすごく小さい頃に、まだなんにもわからないと思って、「ああもう、今日もパパが遅いから……」と、つい独り言の愚痴を言ったことがあるんです。そうしたら、長男がさささっと私に寄り添ってきて「ママ、パパ悪いよね、ね、ママ」ってすごく慰めるように言ってくれて、私はすごく焦ったんです。私がこの子にパパをすごく悪いと思わせていると思って。「ごめんごめん、違う違う、全然パパ悪くないから、今のはナシナシ」と言って。それまでは、「パパが仕事で遅いから」って普通に言っていたのを、それからは、「今日はちょっと大臣がパパに聞きたいことがあるんだって」と言うようにしました(笑)。



