年齢別人口分布のグラフをひっくり返してみたら……
お盆休み中、東京・上野の国立西洋美術館に「アルチンボルド展」を見に行ってきた。16世紀後半にウィーンやプラハのハプスブルク家の宮廷画家として活躍したジュゼッペ・アルチンボルドの、世界各地の美術館にある作品を集めた展覧会である。
アルチンボルドは、「寄せ絵」「だまし絵」といった摩訶不思議な作品を多数残している。有名なところでは、たくさんの野菜や花をモザイクのように寄せ集めて人物の横顔を描いた絵がある。展覧会の駅貼りポスターなどに使われているので、見たことのある人も多いだろう。
彼の作品の多くには、一歩引いて全体を俯瞰する、あるいは逆さにすることで、まったく違うものが見えるような仕掛けが施されている。
たとえば野菜の絵を組み合わせて庭師の顔を作った絵。展覧会では隣にそれをそのまま上下ひっくり返した絵が置かれていた。ところが、単に逆さまにしただけのまったく同じ絵なのに、後者は野菜を描いた静止画だけにしか見えないのだ。
こうした錯覚の体験は、イノベーションのヒントを与えてくれる。つまり、絵画以外の現実社会にあるモノや現象でも、俯瞰したり、視点をずらすことで、思いもよらない発見ができたりするのだ。
本書のアイデアも、そんな“視点の転換”が出発点だったそうだ。