逆流の起爆剤としての地政学リスク

 この大きな資金の逆流が起こるとすれば、地政学や政治などのリスクが具現化したときではないか。現在、世界経済においてリスクは散在している。具体的には北朝鮮のミサイル問題、韓国の政治的孤立問題、サウジアラビアの経済改革と近隣諸国との紛争問題、イランの不安定な政治、米国のエルサレム承認によるイスラエルとパレスチナの対立問題、ベネズエラ・ジンバブエ等の独裁政権による経済危機問題、欧州における極右政党の台頭、ドイツ政権の連立不調による欧州政治の停滞など、挙げだすときりがない。これらの問題がきっかけとなって、リスク回避が重視され、逆流の引き金を引く可能性がある。特にその時には、低リスク通貨の円も買われることになり、急激な円高になる。

仮想通貨の崩壊懸念

 さらには、ビットコインを筆頭にバブルとなっている仮想通貨も懸念材料の一つである。ビットコインは2万円に達するなど、昨年1年間で約20倍に価格が上昇している。金融市場の値動きの乏しさに嫌気がさした投資マネーが向かったともいえる。

 仮想通貨の仕組みには危うい部分が多いが、特に最近の特徴として“分裂”がある。分裂で生まれた新しい仮想通貨には同数量が無償付与される。分裂が相場上昇につながるメカニズムに理論的な根拠はないが、投機を誘う要因のひとつとなっている。

 実体経済とは離れた投機市場の問題と言えばそれまでだが、大きく暴落した場合には、米国を始めとした株式市場にも影響が出てくるだろう。現在、ビットコインの通貨別シェアは日本円41%、米ドル38%、韓国ウォン16%、その他が5%となっている。中国はすでに仮想通貨取引所を全面的に閉鎖させた。

 2018年は基本的には当面、世界的好況が維持されると考えるが、以上のような懸念材料に十分な注意が必要だ。

(博士[経済学] 宿輪純一)

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