11月10日に金融庁から「金融行政方針」が提示された。これはいわゆる森金融庁長官の行政方針「森ドクトリン」の集大成ともいえるものだ。そして、これをじっくり読んで、最近の銀行経営の動きを分析すると、まさに総選挙で大勝した安倍首相の経済政策・アベノミクスにおける、本格的な日本経済改革のスタートであるとわかる。
金融行政方針において、特に銀行に対する大きな行政方針は以下の2点である。
(1)統合の推進や事務の改革等による銀行のリストラ
(2)銀行員の企業への参加による企業支援・育成(新産業育成)
とくに(2)は、銀行の人材を他の企業に供給し、彼らを中心に企業を成長させ、また起業や産業育成を推進させようとするものだ。この動きは、日本経済・社会のさまざまな問題への対策となる。その問題とは以下のようなものだ。
・社会的成長産業(企業)が不足
・特に起業が不足
・地方経済が沈滞
・当局主導の育成は今一歩
・大企業・衰退産業が人材を抱え込み
・企業の人手不足
さらに、今回の金融行政方針の進め方がすごい。「見える化」とされているが、金融機関の行動がポイント化されて、成績が付けられ、一覧表方式で発表される。特にターゲットは106の地方銀行(第2地銀を含む)だ。しかも、すべての銀行が生き残るとは限らない、としている。