コインチェック事件で見えてきた仮想通貨・ブロックチェーンの問題点

仮想通貨史上、最高額の大量盗難

 1月26日、大手仮想通貨取引所のコインチェック(Coincheck)のシステムがハッキングされ、顧客から預かっていた約580憶円相当の仮想通貨NEM(通貨単位はXEM/ゼム)すべてが流出する(盗難に遭う)事件が発生。金融庁が業務改善命令を出した。その後の流動的な情勢の中、命令の報告日を待たずして、同庁は立入検査に入った。これは異例の事態だ。そもそも立入検査は大変厳しいもので、社内の書面・ソフトのすべてをチェックする。今後も事態は日々、予断を許さない。

 金額では2014年に発生した仮想通貨取引所マウントゴックス(Mt. Gox)の被害額約470億円相当を抜いて、仮想通貨犯罪では1位である。ちなみに金融犯罪の最高額は、米国の元NASDAQ会長マドフが起こした詐欺事件が約5兆円で最高額といわれている。

 そもそも、既存金融機関を結ぶSWIFTなどのネットワークだけでなく、世界の仮想通貨取引所へもハッキングの試みは世界的に行われていた。昨年12月には韓国第2位の仮想通貨取引所ユーコインがハッキングされ破綻。今年は日本も含め、世界的にハッキング(サイバー攻撃)が続くといわれていた。

 筆者も本連載の2015年のバックナンバー『電子マネーからフィンテックまで 決済の進化と銀行経営のリスク』を始め、仮想通貨・フィンテック・ブロックチェーンに関しては、制度や仕組みの面から警鐘を鳴らしてきた。