このような(1)金融政策と(2)中国経済の反転によって、金融市場では国内市場の下落と国際的な資金の逆流が発生する。それは(A)株式と債券など金融市場からの資金逃避(株価の下落と金利の上昇)と、(B)新興国からの資金逃避(通貨危機)である。

 中国だけでなく、世界全体で政府・企業・家計の債務(借金)が世界のGDPの3倍にもなり、今なお増加している。金融市場は、全体として債務が増加すると、リスクに“敏感”になっていく性質がある。

(A)国内市場の下落

 懸念材料としては、FRB(米国連邦準備制度)が他の先進国中銀と連携して金融引き締め・利上げを行っており、まずその国内的な影響がある。マネーの量が増加して、金融市場が上昇していっただけに、マネーの量が減少してくれば状況が反転するのはある意味、自然なことだ。反転が急ならば、金利も急騰するリスクがある。

 しかし、この国内景気の問題に関しては、2月にFRB議長がエコノミスト・経済学博士のイエレンから、弁護士のパウエルに交替する。パウエルはその背景からも調整型といわれ、トランプ大統領の影響も受け、国内景気に十分に配慮した金融政策を実施すると考えられる。

(B)新興国から先進国への資金の逆流

 このFRBを始めとした先進国中銀による金融引き締め・利上げによって、新興国からの資金の逆流が懸念される。かつてのアジア通貨危機等の通貨・経済危機は、米国等の利上げがその要因の一つであった。

 そのためとくに近年は、イエレン議長も新興国の経済状況にも配慮しながらゆっくりと行っているものの、十分な注意が必要だ。東南アジア諸国については、アジア通貨危機の経験があるためそもそも経済が強化されており、当時の約5倍の外貨準備があるほか、チェンマイ・イニシアティブなど外貨融通の仕組みも出来上がっていることから、大きな不安はないだろう。