変動率が市場を揺らす
「変動率」という言葉が株式市場をにぎわせている。英語ではVolatility(ボラティリティ)という。ざっくり言うと、(相場で言えば)どっちに行くか分からないが、何かが起こりそうだ(大きく動きそうだ)ということを示す指数、言い換えれば「市場の不安」を表す指数である。「リスク」と言い換えても構わないであろう。実際、ボラティリティが高まった現在、為替市場では大きく円高に向かっていることがその証左である。
金融市場にオプション(Option)という金融商品がある。一言でいうと「保険」のような商品で、ある一定の前提がそろうと、その決められた条件が実行されるものだ。
そのオプションの価格は、この変動率によって影響を受ける。例えば戦争が起こりそうになると、保険の価格は上がる。それと同じで、なにもなければそのまま期限で消滅していく。筆者は長年、シカゴはじめ各地でこのオプションの取引にも携わってきた。
恐怖指数とは何か
また最近、「ボラティリティ・インデックス」(Volatility Index/VI)、日本では(過激な名前を付けるのが好きなようで)「恐怖指数」と呼んでいる指標も話題になっている。投資家の「恐れ」を反映しているのだろうが、市場において大きな変動は普通にあり得ることなので、それほど恐怖に思う必要はない。本来は保険と同様、リスクヘッジに使われていたものだ。
有名なのは「VIX」(VI Index)と呼ばれる米国の指数で、シカゴ・オプション取引所(CBOE)に上場されている。日本では「日経平均VI」がある。この数字が20を超えると警戒水域に入ったといわれる。この20は今後1年間に約7割の確率で20%の範囲で変動することを意味するのだが、20を超えるというのは、その範囲が20%を突破して広がることを意味する。