2日もかけず法案成立
共和党は「小さな政府」離れへ

 それどころか、大きな政策転換であるにもかかわらず、議会での歳出法の審議は、拙速といわれても仕方のない速さで進められた。18年3月21日の夜に発表された法案は、翌22日の昼には下院で可決、23日の早朝には上院でも可決された。丸2日も経っていない。今回の歳出法は、約1兆3000億ドルの歳出の使途を定めた約2200頁におよぶ大作だ。このような短時間で、目を通せるような代物ではない。中身を精査することもなく、大幅な歳出拡大が容認された格好だ。

 拙稿『米国も財政再建より減税優先、タカはどこへ行った?』で指摘したように、共和党が「小さな政府」から離れてきている理由のひとつは、政治的な環境の変化にある。政権党の立場となった以上、「小さな政府」へのこだわりは、政策運営の自由度を奪う結果となる。立場が変われば主張も変わる、というわけだ。

 もっとも、政治環境の変化だけが理由であれば、共和党が政権党の座を奪われた場合には、改めて「小さな政府」の立場に立ち返る可能性がある。しかし共和党には、「小さな政府」の立場を維持し難くなっている構造的な理由もありそうだ。それは支持者の高齢化だ。

 財政赤字は、公的年金や医療保険など、主に高齢者向け施策の歳出拡大が大きな要因となる。言い換えれば、中長期的に「小さな政府」の路線を維持しようとするのであれば、高齢者に痛みを強いる改革が必要になる。

 ところが、共和党の支持者は高齢化が進んでいるため、共和党は「小さな政府」を実現するための方策に手を出し難くなっている。ピュー・リサーチセンターによれば、1997年の段階では、共和党支持者の61%が50歳未満だった。これが17年になると、その割合は42%へと大きく減少しており、支持者の58%を50歳以上が占めている。

 もちろん、米国自体が高齢化している影響はある。しかし、民主党支持者を見ると、50歳未満が占める割合は、97年の58%から17年の53%へと、あまり低下していない。支持者に高齢者が占める割合の高さという点では、共和党と民主党の関係は、20年前から逆転している。

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高齢者が「小さな政府」を望むパラドックス

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