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相次ぐ議会共和党の「造反」、緩むトランプ氏の掌握
エプスタイン法案成立でも主導権とれず
支持率低下が目立つトランプ第2期政権だが、このところは、米議会共和党との間でも、議員側に主導権をとられたり、関係がぎくしゃくしたりということが相次いでいる。
11月18日、米議会は少女売春などの罪に問われたジェフリー・エプスタイン元被告(勾留中に死亡)に関する文書の公開を司法省に義務づける法案を可決したが、下院の反対票はわずか1票、上院では全会一致と、近年の米国ではまれにみる「超党派」の賛成が集まった。
とりわけ異例なのは、エプスタイン法案の成立が、トランプ大統領に対する共和党議員の造反の結果だった点だ。
これまでトランプ氏は、議会上下両院で多数派である共和党の結束を当然のことのように扱い、強権的に政権運営を進めてきた。しかし、かねて成立に反対してきた同法案に関しては、採決を支持する共和党議員への働き掛けも実らず、投票が近づくと、成立支持に転じて体面を保つ道を選ばざるを得なかった。
12日に史上最長の43日間に及んだ政府機関閉鎖が解除となった際も、トランプ氏と共和党の関係はぎくしゃくした。トランプ氏は上院の共和党議員たちに対し、少数派が議事進行を阻止できる「フィリバスター」と呼ばれる慣行を廃止し、民主党による抵抗を無力化したうえで、共和党単独で閉鎖解除につながる法案の採択を強行するよう働きかけた。
しかし、上院共和党は要請を拒否し、一部の民主党議員の要求を受け入れる形で合意し、政府閉鎖を解除する道を選んでいる。
地方議会でも、トランプ氏に素直に従わない共和党議員が出てきている。トランプ氏は、来年の中間選挙に向けて、共和党に有利になるように選挙区の区割りを変更するよう各州に要請している。しかしインディアナ州では、共和党の州議会議員が難色を示し、議会審議のスケジュール調整に手間取った。
トランプ氏を支えてきたMAGA派の議員や識者からも、トランプ氏の政策への批判が聞かれ始めた。トランプ氏が打ち出した50年住宅ローンの推進には、「金融機関への優遇策ではないか」との批判が起こっている。移民問題で、高技能者を対象としたビザ(H-1B)の必要性に理解を示した点についても、「米国第一と相いれない」との反発が聞かれている。
2期目の大統領が次第に求心力を失う「レイムダック化」が現実になり始めているといえる。今後、それが加速することになるのか。来年の議会中間選挙は最大のポイントになるだろう。
だが現状では、「トランプ氏なき世界」への歩みは、一筋縄では進まなさそうだ。







