トランプ大統領のリベラル政策“横取り”、中身より提案者で評価する「ナラティブ化政治」で劣化する政策論争Photo:Alex Wong/gettyimages

MAGA派自認の回答者、98%が「支持」
対外関与に消極姿勢にもかかわらず

 トランプ第2期政権が2年目に入ったなか、2026年早々のトランプ政権による南米ベネズエラへの軍事作戦、ニコラス・マデュロ大統領夫妻の拘束、米国への一方的な連行は国際社会にも衝撃を与えた。

 不法移民や不法薬物流入が米国の安全保障を脅かしているという名目での軍事作戦に対しては、大国による強引な国際秩序の変更につながるなどの批判が米国内にも起こり、賛否の議論が渦巻いた。

 だが、一見すると意外な展開だったのが、中東などへの米軍派遣やウクライナ支援など、米国の対外関与に消極的なはずで、トランプ大統領の「自国第一」の岩盤支持層であるMAGA(Make Amerika Great Again、「米国を再び偉大に」)派がベネズエラ攻撃を支持していることだ。

 CBSが攻撃直後に行った世論調査では、共和党支持層と民主党支持層では、支持、不支持が多く分かれたが、MAGA派を自認する回答者が支持する割合は実に97%と、MAGA派以外の共和党支持者(80%)を大きく上回っている。

 近年の米国の有権者は、政策などの評価では、その内容よりも「誰が主張や提案をしているのか」に反応する傾向があり、MAGA派は「政策の内容がどうであろうと、トランプ氏の政策は成功する」というナラティブ(物語)を信じているようだ。

 客観的な事実や政策の内容よりも誰がどのように語っているかを判断基準にする「ナラティブ政治」化と言われる現象だ。

 政治家の方も既存の政党のスタンスに縛られにくくなっており、例えば、トランプ氏は国内政策でも、クレジットカード金利への上限設定などを提案、共和党の「小さな政府」の路線から離れて、従来なら民主党が主張するような政府介入的な政策を次々に横取りしている感がある。

 11月に議会中間選挙の投開票を控える中で、政策の良しあしよりも、どのようなナラティブを売り込めるかが、米国政治のカギになっているようだが、懸念されるのは政策論議の劣化だ。