さて55歳になった時に読者の皆さんは、一体、自分が座っていい椅子をいくつ持っているでしょうか。そうした椅子の効用は座ってみないとわからない。まさにやらない人には決してわからない蜜の味です。

 前回お話しした、仕事ではなく「働き」という概念がやはり重要です。一所懸命に働くことで、様々なコミュニティの人と稠密な関係を築く。そうすることで、自ずと自身のライフキャリアが複線化していくわけです。

いい加減な気持ちで
できる人脈など存在しない

 新たなコミュニティに属するということは、当然、新たな人脈を得るということにつながります。

 どれだけの幅広い人脈を持っているかで、定年後の人生の質が決まると言っても過言ではないでしょう。

 人脈を広げる一つの手段がこのように新たなコミュニティに属すること。その結果、これまでとは異質な人脈を得ることができます。異質な人脈は思わぬ情報を与えてくれます。そうした情報の中に将来を開く新たな可能性が潜んでいるかもしれないのです。しかし同時に、異質であるがゆえになかなかこちらの真意を理解してくれない、こちらの本当の姿をわかってくれない場合もあります。

 ここでもう一つ大切な概念があります。生物学用語で「相同性」と言われる概念です。進化の樹形図において、比較的近い関係にあることを相同性が高いと言います。

 人間関係における相同とは「皆まで言わずともわかってくれる仲間」「同じ釜の飯を食った仲間」といった感じでしょうか。例えば、高校時代の友人は何年経っても会えばすぐに“あの頃”の会話が蘇ります。どこか意識の底の方でつながっている感じがあります。

 会社の入社同期なども同じかもしれません。同じ釜の飯を食った仲は、いつまで経っても仲間です。話が通じます。毎日毎日何年も顔を合わせていた仲間です。こうした仲間が何らかの形でいったん別れ別れになった。付き合いが連続していないわけです。しかし、年賀状のやり取りなど、いまだに弱い結び付きは維持している。そうした関係性を持った人脈はキャリアを切り開く上でとても大切です。それを非連続相同の関係と言います。

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55歳ぐらいから人脈を掘り起こしてみる

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