何か新しいことを始める場合に、そうした関係性を持つ人間の存在が有益なことが多いものです。なぜならば、相同性が高く言葉や感覚が同じなので容易にわかり合えるし、信じ合える。しかし、しばらく離れていたので、異なる社会経験をしているから異質の部分を兼ね備えている。ずっと強い結び付きのままの関係では新たな刺激を得られません。非連続から得られる新たな刺激を、相同ゆえに通じる言葉で伝えてくれる。こんな関係が大切です。
例えばキャリアでいうなら、異質な人脈は新たな情報をくれますが、必ずしも自分のことをよく理解してくれているとは限らないので、的外れな紹介をしてくるかもしれません。しかし、非連続相同な仲間はこちらのことをよくわかってくれた上で、新たな情報をくれるので、適合する確率が格段に上がります。
55歳くらいから、改めて自分にとって非連続相同の人脈を掘り起こしてみてはいかがでしょうか。必ずしも「今、何をするか」という目的がなくてもいいと思います。久しぶりの友達とまずは飲む、そんなことで結構です。昔話でもいいので語り合う。その中から新たな可能性が芽生えてくるかもしれません。
新人教育を一緒に受けた同期の仲間、転職経験者なら前職の仲間などは真っ先に候補に上がるでしょう。かつて一緒に汗をかいた取引関係も候補です。実際、転職は意外と取引先がキーになる場合が多いものです。
ただし、注意すべき点があります。非連続相同の関係は、決して竹馬の友と同じではありません。つまり、付き合い方を間違えたら次はないので、有限な資源だと思って、全力で向き合うべきです。いい加減な気持ちで付き合わないでください。
ここが重要なところです。次のキャリアを相談するような大切な人なのに、昔の仲間だと思うと、ついつい甘えてしまいがちです。昔は同じ釜の飯を食った仲間であっても非連続であるということを忘れないでください。安易なお願い、失礼な物言いは禁物です。信頼はするけれど甘えないことが大切です。
(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)



