トランプ大統領が
プーチン大統領にすり寄った現実

 米ロ首脳会談で、トランプ氏はロシアの肩を持った。

 首脳会談からベネフィット(便益)を得たのが、ロシアのプーチン大統領だったことは言うまでもない。この結果、プーチン氏はロシア国内での支持をさらに高めることができるだろう。米国の大統領が、「ロシアの言っていることは正しい」と支持し、プーチン氏の“点数稼ぎ”を支えたともいえる。それが、今回の米ロ首脳会談で起きたことだ。

 従来の米ロの関係を考えると、今回の米ロ首脳会談の展開はかなり不自然だ。

 その内容には違和感を持つ。近年、米ロの関係は冷え込んできた。米国は、ロシアのクリミア半島への侵攻や中東のシリア内戦への介入を批判してきた。そのため、今なお、米国はロシア企業などへの制裁を続けている。米共和党内部には、ロシアへの追加的な制裁が必要との意見も根強い。

 そうした状況下、トランプ大統領がロシアの肩を持ち友好的にふるまうことは、本来ありえないはずだ。トランプ氏は何らかの“弱み”をロシアに握られているのではないか。トランプ氏のロシアへの弱腰姿勢を見た人が、そうした見方をしてしまうのも仕方がないだろう。トランプ氏が、国内で多くの批判を受けていることは当然である。

 首脳会談の中で、トランプ氏は米国の司法・情報機関を信頼していないと解釈できる発言を行った。このインパクトも重大だ。13日、米司法省は、大統領選挙への介入を理由に、12人のロシア諜報担当者を起訴したと発表した。そのため、米国の世論には、トランプ氏はプーチン氏との会談を中止すべきとの意見もあったほどだ。

 それにもかかわらず、トランプ氏は、「ロシアは正しい」とすり寄った。自国の司法当局を軽視しているともとれる言動をとった。同氏が米国社会に背を向けたと指摘される懸念すらある。

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ロシアに近づく危険なスタンス

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